株価が下げ止まらない。先週で下げ相場は一服かと思いきや、この棒下げは意外であった。調整パターンもいろいろであって、いつも同じような調整になるわけではなく、今回はドカン、ドカンと下げる調整なのかもしれない。もっとも、「調整」ではない可能性もなくはない。個人的には調整(いずれ下げ止まって再び堅調地合いに戻る)の一環だと思うのだが、これは将来振り返ってしか分からない。「調整」でないとはすなわち「崩壊」である。
「次のバブルは形を変えて忍び寄ってくる可能性がある」(福井俊彦総裁)なら、そのバブルは崩壊しないと分からない。なぜなら、バブルかどうかの検証はできず、崩壊してみて「ああバブルだったのね」となるからだ。バブルが「形を変えて忍び寄ってくる」→「予期せぬ形・タイミングでやっくる」というものなら、当然ながら「崩壊」も予期せぬ形・タイミングでやってくる、そしてバブルであったことが分かるわけだ。 仮にこれまでの資産価格の動向がバブルだとすると、バブル度合いが大きいのは海外(欧米・新興国)で、日本は相対的に出遅れている。崩壊した場合、その痛手は海外が大きく、日本は小さいのだが、日本は輸出主導の経済であるので、海外諸国がバブル崩壊に直撃されて景気悪化に拍車がかかると、回り回って日本経済も落ち込むであろう。不動産がまた総下落傾向となったなら、もう立ち直れないと思うのだが…。 調整で済むかどうかはぐっちーさんがしばしば指摘されているように、米国のクレジットマーケットが鍵なのであろうと思う。金融工学の発達はリスクの集中を回避し、分散させる効果があった。この場合はショックが起きても薄く広く分散して波及するわけだが、「薄く広く」のはずが局所的に「厚く」なっているかもしれない。逆に言えば分散の結果、どこにリスクが偏在し、どんなつながりになっているのかが分かりにくくなった。誰かが何かをぶん投げると、別のところで別の誰かが別の何かをぶん投げるという見えない環が形成されているのだろう。 バブル崩壊懸念、杞憂であればいいと真剣に願っております。これは日銀も同様であろう。かんべえさんは「考え過ぎかもしれませんが、本石町方面では本日は祝杯をあげたのではないでしょうか」と指摘されているが、私の知り合いはみんな不安そうですよ(笑)。マジで。
by bank.of.japan
| 2007-03-05 22:25
| マーケット
|
Comments(15)
Commented
by
PK
at 2007-03-06 00:48
x
安部が交代すれば、日本は無事でしょう。
この首相は、分かりにくいので、何をやってもマイナスの結果を招来することになる。 いくら実績を積み重ねても、確信の危機を招くふるまいをする人に幸運はやってこないでしょう。
0
Commented
by
walrus
at 2007-03-06 06:57
x
少子高齢化、人口減少、国民負担の構造的上昇傾向などは、日本における本格的ユーフォリア(バブル)生成余地が極めて限定的であることを意味しています。つまり、足許の動きは所詮「ミニバブルの崩壊」と整理でき、その限りにおいては深刻な景気後退に直結する可能性は小さいと考えられます(深刻でない景気後退になる余地はあるかもしれませんが)。ただ、経済・物価情勢面から利上げの必要がないにもかかわらず、第二の柱を後ろ盾に利上げを実施してしまったかのようにみえる日銀にとっては、利上げの前提が崩れているに等しい動きともいえます。「フォームの乱れ」に起因する自業自得とも映ります。
Commented
by
dell
at 2007-03-06 08:46
x
今回の世界株安は、例によって世界的な金融引き締め下で起きているわけで、むしろ必然ではないでしょうか。特に、円キャリートレードで世界の投機資金の供給源となっている国で、物価下落が予想される中で逆に利上げするごときデタラメを続ければ、いずれこうなるのはむしろ当然です(タイミングを正確に予測することはたしかに困難ですが)。ちなみに、バブルの議論は、過去においてそうであったように、金融政策の失敗を糊塗するロジックとして使われることになるでしょう。(あれは「バブル」だったのだから弾けたのは必然?)
Commented
by
Teddy
at 2007-03-06 09:15
x
第二の柱重視で無用のことやっといて、今更心配されても、鼻白むのは小生だけ?
2001年以降のオルタナ・ブームの立役者のヘッジファンドへの資金フロー、そして、ファンドオブファンズも含めたレバレッジ(レバレッジがビルトインされた証券化商品投資)が軟着陸(笑)できるかがカギ。でも、サブプライムの証券を買っていたのはヘッジファンドですから、一つや二つのファンドの破綻は覚悟しています。 思えば、10年前も、「健全な調整」・「ファンダメンタルズは変わっていない」というコメントをさんざん聞かされました。金融市場と実体経済とのフィードバックを軽視した物言いです。 とはいえ、ウイークリンクの米国消費者のキャッシュフローが深刻に脅かされない限り、なんとかしのげるかも・・・
Commented
by
オレンジ
at 2007-03-06 09:19
x
ヘッジファンドも含めて各社がどのようなリスク管理モデルを使っているのか詳しくは知りませんが、基本的には(ヒストリカルな)ボラ上昇が、割り当てリスク資本を増加させるはずです。リスク資本の増加は、追加資本がなければ、ポジションの縮小につながるわけで、相場の逆回転が始まるとしばらくは止まりにくいように思います。
Commented
by
bank.of.japan
at 2007-03-06 12:20
x
PKさん、どうもです。経済安定上、政権基盤は重要です。支持率低迷は何とかしないといけないでしょうね。
walrusさん、どうもです。日本国内の新興市場は昨年クラッシュ済みで、現在がミニバブル崩壊だとすると、後は景気後退の深度が軽くなるのを祈るしかないです。踊り場で済めばいいですが…。 dellさん、どうもです。仮にバブル崩壊であった場合、日銀として責任論の回避は難しいでしょう。後は、バブル期の教訓として、崩壊に際して果敢な緩和ができるかどうか、でしょうか。
Commented
by
bank.of.japan
at 2007-03-06 13:43
x
Teddyさん、どうもです。実体経済の堅調さが投融資の好調によって嵩上げされている場合、崩壊は実体経済を直撃するもので、その典型が90年以降の日本。米消費者の抵抗力に期待ですね。
オレンジさん、どうもです。ポジション解消の悪循環に歯止めがかかるといいのですが。こればっかりは読めませんね。
Commented
by
飛車
at 2007-03-06 16:35
x
株式市場に適切な価格など存在しないに等しいという点で、株式市場は常にバブルであり、バブル退治は株式市場の軽視だと思います。その決定を下した総裁が株の薦めなんてしているのでアレレなんですが。
あれはもしかして、「金利上げても株価下がってくれるな」という日銀的ポジショントークだったのでしょうか!? ところで、第二の柱とか時間軸効果とか、俺流の単語が多い中央銀行ですね。もうちょっと普通の言葉で対話して欲しいです。
Commented
by
dell
at 2007-03-06 19:19
x
>仮にバブル崩壊であった場合、日銀として責任論の回避は難しいでしょう。
いや、それは違うと思いますね。 資産価格の下落が景気後退につながってしまった場合の言い訳として、「あれはバブルだった。だから崩壊するのは避けられなかった。日銀としては、利上げするなどバブルを膨らまさないよう最善の努力をした。」というような自己正当化のロジックに使われるのですよ、そもそも「バブル」という言葉は。さらに日銀は、「今後は今回のようにバブルを膨らますことのないよう留意する」などと言って、今回の一件を今後の早期利上げの口実にすら使うことが考えられますね。 そんなことにならないことをただただ祈るばかりです。
Commented
by
PK
at 2007-03-06 19:25
x
ケインズは、投資は保険計算ではないと言っている
今は、グズ安部の尻をけっとばして前へ前へ押し出すことだ そうすれば出生率も上がるし賃金も上がるし景気も持続する 小泉に比べてグズなんだから国民が尻を蹴っ飛ばさなければ駄目だ
Commented
by
bank.of.japan
at 2007-03-06 20:54
x
飛車さん、どうもです。総裁はその場で最適と思われるトークをされたのだろうと思います。俺流の単語が多い中央銀行であるのは、その通りです(笑)。
dellさん、どうもです。日銀もそこまで抗弁するとは思えないのですが…。激しくバッシングされる気がします。 PKさん、どうもです。いずれにせよ選挙で結果が出ると思います。
『誰かが何かをぶん投げると、別のところで別の誰かが別の何かをぶん投げるという見えない環が形成されているのだろう』
この下りが特に印象に残りました。 回りまわって、誰も彼もが誰かのリスクを負担している事になると、沈む時は一緒、というお粗末な結末が待っているかも知れませんね。
Commented
by
bank.of.japan at 2007-03-07 13:44
名無之直人さん、どうもです。金融取引はリスク・リターンの連鎖関係になっている面があるので、上記のような事例が起こりやすいです。薄く広くならいいですが、「薄い」のが徐々に厚くなり、厚く・広い関係は共倒れしやすいでしょう。
Commented
by
PK
at 2007-03-07 15:19
x
Commented
at 2007-03-07 18:59
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
|
ライフログ
検索
最新のコメント
カテゴリ
全体 リンク 連絡先について メルマガ 日銀 経済 マーケット FRB&others 金融システム 替え歌 欧州便り ユーロ マスコミ ブログ紹介・お知らせなど ALM 大機小機 その他 議事録 一万田総裁 未分類 以前の記事
最新のトラックバック
ブログパーツ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||