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長期or超長期では農業が有望ではないかと思ったりする
 「目先の景気に囚われていいのか」という壱万円札さんのコメントで、前から書こうと思っていたネタを思い出した(こういうことが多いのは老化現象ですかね・笑)。壱万円札さん、多謝です。ところで、ネタは何かと言えば、「長期or超長期の展望として『農業』が有望な産業になるのではないか」ということだ。まあ、多分に直感的なアイデアであり、ほとんんど妄想の領域かもしれないので、読み流して頂ければと思う。
 まず、日本の人口は減少傾向にあるが、世界人口は毎年数千万人増加が続いている。また、BRIC’sの生活水準は向上し、肉食志向が強まっている。このことは農産物需要が増大していくことを意味するが、耕作面積や水資源には限界がある。従って、いずれ農産物の生産力が人口増加を支えきれずに食糧不足に陥る恐れがあるのではないか、と思われる。
 現状、日本の農産物の価格競争力はないが、穀物不足によって国際価格が上昇すると、競争力を取り戻す可能性がある。一般的な農産物の内外価格差が正確にはどの程度なのかよく分からない。3-4倍ぐらいなんだろうか。仮に4倍だと想定すると、原油などは需給ひっ迫懸念で数年で2、3倍になった。農産物も需給ひっ迫感が出ると、同様の上昇をみせるのではないかと考えられる。
 一方、日本国内では農村人口が減っている。農業の担い手は高齢化しているので、減少に拍車がかかるのだろう。全国的な現象なのか分からないが、私の郷里では使わない田畑を農業法人に集約化させている。実家の目の前にある数十ヘクタールの水田は昔は細切れに所有されていたが、随分と集約された。もちろん、この程度の集約で向上する生産性など広大な米穀倉地帯と比べると微微たるものだが、人力でやっていた時代よりはましなのだろう。
 日本は降水量も多く、水資源の枯渇は心配する必要は多分ないと考えられる。平野が少ないのはネックだが、可能な限り集約化を進めておけば、食糧不足が起きたときに農業が復活するチャンスがいつかは来る気がするのだが…。なお、農業技術の発達・遺伝子操作などで各国での収穫量が飛躍的に増大すれば上記の想定は崩れる。

私の農業観(兼業農家) 子供の頃に強制的に手伝わされたので、しんどいという思いが強い。また、農薬をかぶって気分が悪くなったこともあり、健康にも良くない気がする(今は改善されたと思うが)。最近になって親父から聞いたのは「農業はしんどいことを思い知らせるために手伝わせた」とのこと(確かに効果は大)。そして「ミカンとかいろいろ作ったが、コストもかかり、恐らく通算すると儲けはなかった。自家消費分が浮いただけだろう」という(徒労だったのか…)。
by bank.of.japan | 2006-09-27 22:08 | 経済 | Comments(25)
Commented by 為替トレーダー at 2006-09-27 22:49 x
世界の過剰流動性によるマネーが食品価格の値上げにつながったりなんかすると、”ちょっと庶民にはしんどい話やなぁ”とここ数年漠然と思っていたのですが、本石町日記さんでこのようなエントリーが出て、ついにきたかなーという印象を抱いています。

先の就任会見で、農相は”外国にも輸出できるような攻めの農業”、”補助金のいらない農業”を目指すという発言をしておりましたが、アメリカにせよ、EUにせよ、カナダにせよ、先進国では農業セクターには国からの補助金がでています。古い話ですが80年末のソ連も農業セクターに多大な補助金を回していたと記憶しています。日本の農業は補助金なしでPAYできるのでしょうか。まして外で戦えるのでしょうか。

日本は都道府県ごとにひとつは農業技術センターがあったとおもいますが、生産額の割りには技術研究にお金かけてきたと思うので、そんなふうに蓄積された農業技術を攻めにかえたときのポテンシャルは大きなものだとも思います。
Commented by ECO at 2006-09-27 23:19 x
いつも迅速なお返事、有難うございます。

私も、農業が「改善の余地が非常に大きい」という意味で有望な産業だと思っています。

しかしアベ内閣の農水大臣は・・・・?農業政策については不勉強なので確たることは何も言えないんですが、大丈夫なんでしょうか?また見境のないバラマキetcで、生産性が損なわれるのではないかと心配です。
Commented by なっしゅ at 2006-09-27 23:23 x
地球温暖化に伴う気候の大きな変化で、水資源の枯渇または洪水が頻発し、日本の国土に耕地として適したところがどれだけ残るのか……とついネガティブな予想をしてしまいます。
Commented by bank.of.japan at 2006-09-28 00:31 x
為替トレーダーさん、どうもです。素人考えなので的をはずしたエントリーかもしれないです。ただ、コモディティも投資対象としてかなり認知されてきているので、需給逼迫感があるときは価格が高騰しやすいのではないかと思ったりします。この場合、補助金が厚いほど採算に乗るレベルは高くなるので、裁定は効きにくいかもしれません。
Commented by bank.of.japan at 2006-09-28 00:44 x
ECOさん、まいどです。私も農政は門外漢で、的外れな感想かもしれませんが、仮に兼業農家もバラマキ対象だとすると生産性は上がり難いでしょう。実家は平均的な兼業農家でしたが、今では働き手もなく、畑は休耕、田んぼは貸しているようです。うまい具合いに生産性が上がる方向に農政を舵取りしてほしいと思います。
なっしゅさん、どうもです。ご指摘の気候変動の影響はかなり読めないファクターです。甘いかもしれませんが、日本の場合は熱帯的な感じが強まり、少なくとも降水量には恵まれるのではないかと想像しておるんですが…。
Commented by von_yosukeyan at 2006-09-28 02:54 x
農産物の輸出ですが、梨やさくらんぼといった果実類の輸出は、なねてから細々と行われていましたが、最近は海外での日本食ブームめあって、高級米や和牛の引き合いが増えているようです
農業団体や貿易業者も、海外で積極的なアピールを行っているようですが、高付加価値品目が中心ですね。海外における日本ブームにどれだけコミットできるかと、地方から海外に輸出する際のロジが課題です
Commented by nni at 2006-09-28 03:40 x
こんばんは。いつも興味深く読ませていただいております。

たまたま同じタイミングで農業について書かれたブログと両方見ながら、ふーむ、と思っておりました。
苦悩(農)業 / 中華的生活「多少銭?」 http://chinalifecost.seesaa.net/article/23388154.html

日本の農業の収益性の低さという点でちょっと興味深いかなと思い、URL記載させていただきました。
実はこの後に30分くらいコメントを書いていたのですが、あまりの駄文にずばっと消してしまいw
そうはいってもなかなかコメントを書く機会もないものですから、これだけ残させていただくことにします。
今後とも楽しみにしております。
Commented by ゴム3号 at 2006-09-28 08:47 x
こんにちは。農業は工業と異なり、生産性の向上には限界がありますので、見かけの経済合理性のみで農業を語るのは危険だと思います。
大内力著「農業の基本的価値」(家の光協会)という力作(一般向けなので非常に読みやすく、古本でも安価に出回っている)がありますので、是非ご一読ください。
あとアメリカの農業ですが、先物市場をベンチマークとした所得補償制度(新農業法)についてはこのあたりを参照ください。
http://www.maff.go.jp/wto/usa_seisaku.pdf#search=%22%E6%96%B0%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E6%B3%95%22

身勝手きわまるアメリカの新農業法
http://www.nouminren.ne.jp/dat/200206/2002060308.htm
Commented by luke at 2006-09-28 11:37 x
日本のデータはちょっと見つかりませんでしたが、フランスでもアメリカでも
農業の生産性の伸び率は他の産業を上回っています。
http://www.jetro.go.jp/france/paris/maff/menu2/2002/200210_6.html
http://lin.lin.go.jp/alic/week/1996/jun/244us.htm
フランスの一次産業は、40年間で生産性が32倍になったとか。

日本でも、この数十年で農業人口が1割以下に減ったにもかかわらず
生産高がそれほどは減っていないことを考えると、生産性は10倍以上
にはなっているのでは。

欧米の補助金についてですが、輸入制限と同じく、大きな被害者は
国外の生産者だけでなく国内の消費者ですね。「対抗してこちらも
補助金を」というのは愚策かと。
Commented by bank.of.japan at 2006-09-28 12:58
von_yosukeyanさん、いつもコメントありがとう御座います。付加価値の高いものから裾野が広がっていけば理想的ですね。BRIC’sの生活水準が向上し、ある程度日本食が浸透するのに期待したいです。
nniさん、どうもです。興味深いブログの紹介有難う御座います。農業現場の深刻な状況が伺え、やはり事態の改善は容易ではないと思いました。今後ともよろしお願いします。
Commented by bank.of.japan at 2006-09-28 13:07
ゴム3号さん、どうもです。天候など不確定要素があり、ご指摘のように単純な合理化論は通用しないですね。資料の紹介、大変ありがとうございます。今後参考にさせてもらうことにします。
lukeさん、どうもです。こちらも資料の紹介頂き多謝です。私が小学低学年のころは牛が現役でした。さすがにその後の機械化などによって生産性は上がったのですね。補助金の問題はご指摘の通りだと思います。

Commented by SAKAKI at 2006-09-28 17:14 x
農業を潰したのは協同組合方式によるものが大きいです。さらに農地法の後進性(株式会社の新規参入制限)、利用増進法の不徹底、土地改良法による負担金の増などが挙げられますね。農業委員会のような名誉職をいつまでも残しておいては、新しい息吹が農村に起きません。さてさて安倍ちゃんはどうするんでしょ。
Commented by bank.of.japan at 2006-09-28 22:39
SAKAKIさん、どうもです。ご指摘の農地法の規制緩和は結構いい案なのではないかと個人的には思うんですが、抵抗が強いようですね。安部政権は改革路線の継承を標榜している(どこまでやれるか未知数)ので、農業面でも改革を断行してほしいと期待したいですが…。甘いかな。
Commented by 通行人 at 2006-09-28 23:17 x
別に国として輸出を増やそうなんてしなくても良いと思う。農業やってる人達が自発的に増やそうとするんなら別だけど。

それと、協同組合は原因ではなく結果だと思います。GHQ謹製の古臭い農地関係の法律により資本家による資本蓄積を禁じられたために、協同組合で逃げていただけでしょ。企業化が進めば、小規模農家の互助組織である協同組合は存在意義をどんどん失っていくと思います。

ところで、農業の生産性も大事ですが、加工食品の生産性ってのもあります。クズ素材を色々混ぜて、いかにもおいしそうな加工食品に仕上げるテクニックは凄いものがあります。ついでに保存もできるようになって、生産量の変動を吸収して一石二鳥です。問題は、それが酷い事のように語られる事かも。
Commented by bank.of.japan at 2006-09-29 13:38 x
通行人さん、どうもです。世界人口の増加→農産物価格の上昇→自発的に輸出が増える、という状況になる可能性はなきにしもあらずかなあ、と考える次第です。農業形態としては企業化はいいのではないかと思うのですが、この辺は今後の改革次第でしょうか。クズ素材の加工の件はご指摘の通りですね。「クズ」は言っても、「質」は変わらないのでしょうから、私自身は全然気にしません。子どもの頃、パン工場に「クズパン」をよく買いにいってました。食パンの耳が中心ですが、私は耳も好きなもんで、ありがたかったです。
Commented by von_yosukeyan at 2006-09-29 17:03 x
農業振興の話題では、兎角食料自給率の上昇の観点からの、輸入代替化が話題になるんですけど、産業としての農業を考えると輸入代替化よりも製品の競争力や、付加価値化が重要になるんじゃないかと思います

輸入代替の観点から言うと、輸入の大半を占める小麦や大豆といった基礎農産物では、大規模化・機械化・低廉な季節労働力が確保できる米仏と対抗するのは難しいでしょうし、仮に実現できるとすれば多額の補助金が必要となるでしょう。「産業としての農業」を考えるなら、量を追求することに意味はないと思いますし、下手すれば変なナショナリズムに陥ります

ヨーロッパの農業輸出国では、補助金がないとダメな基礎食料生産から、畜産業と加工食品、花卉類と農業輸出品目を見ても多様性があり、米を主要な農産物と想定し、減反対策としての転作としての付加価値農産物と位置づけるわが国の農業政策と比較しても隔たりは大きいと思います。「農協」の問題は、 Bank=Insurance足る金融部門が、流通部門の赤字を埋めているという構造的な問題と肥大化問題に起因するもので、農協が果たしている流通機能や営農指導システムそのものは未だに意義は大きいと思います
Commented by bank.of.japan at 2006-09-30 00:21
von_yosukeyanさん、どうもです。ご指摘の通り、調べると穀物類の内外価格差は激しいですね。多様な農産物のブランド化を図るのが妥当な路線のような気がします。田舎の農協には身内がおりますので、言わんとされる問題は理解できます。先日、この身内からいきなり高価な果物が送られてきました。ノルマ未達成分を自腹切ったようで。うれしいけど物悲しい贈り物でした。
Commented by @ at 2006-09-30 15:21 x
補助金出してペイするなら十分な成果でしょうね。
ペイするなら農村の人は公共事業やめて農業やれるでしょうし、
トータルで見て予算の削減につながるでしょう。
Commented by bank.of.japan at 2006-09-30 17:54
@さん、どうもです。理想は補助金なしでペイすることですが、今よりも補助金が少なくなることだけでも僥倖でありましょう。世界人口が増加し、温暖化も進む中、日本が農業の面で気候に恵まれる状態が続くことを祈りたいです。
Commented by 通行人 at 2006-09-30 23:19 x
僕も長期的には農業は有望だと思っています。というのも、これから先本格的に希少性が増すから、その分野に対する投資が明らかに増える事が予想されるからです。ただ、技術革新がそれについていけるかどうか。あと漁業も。こちらは、養殖方面が伸びていくはずです。

農業の自給率については、農家にも農協にもそれらしい営業がいない。流通は資本蓄積が進んでいて海外で事実上の委託生産みたいな事をして、国内で営業活動をしている(売り込まれているわけじゃない)。その結果、国内農業のメリットが薄れている。という事かと思います。でも、中国みたいに国内の旺盛な消費を抱えている国は、現在の日本のように日本に来てでも買いつけていくようです。

ちなみに、現時点でも日本の最高級品の果物は国内価格の数倍以上の価格でヨーロッパの貴族さんが愛用していたりします。かなり特殊な市場ですが。
Commented by von_yosukeyan at 2006-10-01 13:35 x
商社や食品メーカーといった「流通」側面から、輸入が増えている農産物は主に次の二つがあります。一つは、かぼちゃやニンジンのように「鮮度がアバウトで日持ちのする野菜」。もう一つが、レトルトや冷凍食品のような加工食品の形で入ってくるもので、昔から皮が向いてある冷凍ミニニンジンや冷凍グリーンピースがありましたが、種類も量も増えている気がします。残留農薬の問題もありますが、長期的には現地国の規制も強化されていますし、現在でも商社が「日本の農法・農薬管理で、日本の種苗を使って栽培」したりしていますので、今後も輸入規模は拡大していくのではないかと思います

一方で、輸入で代替できないものは、鮮度が重要で加工食品に向かない、サラダ菜やネギといった食材で、輸入代替には程遠いのが現状です。ただ、長期的には近隣国との航空輸送の発達で、ある程度代替化は可能ではないかと思いますし、国内においてもコンビニや外食産業の発達から、流通経路は農協を通さない合理的な方向に向かっていることは確かです
Commented by von_yosukeyan at 2006-10-01 13:35 x
こういった枠外にあるのが、低農薬や低環境負荷を謳った高付加価値の野菜やブランド米などで、直販が中心で市場規模はまだまだ小さいですが、伸びは期待できそうです。ただ、個人的には「低農薬」とか「低環境負荷」で栽培された農産物というのは、本当に安全で環境負荷が低いのかと言われると疑問点が多い(規格に入らないものは大量に廃棄されるし、昔と比べ農薬の安全性は高まっているので「生物由来」だが使い方によっては危険で環境負荷の高い農薬代替物(木酢など)や少量で効果のある強烈な農薬の使用には疑問)わけで、直販市場の拡大もどんなものかなぁと思ったりします



収穫してすぐ食べた方がおいしいに決まってますし、環境負荷や栽培管理の上でも自家消費する分はある程度自給するというのはベターではあると思います。団塊の世代の退職や、労働環境の変化で、郊外に土地を持てるある程度の層には、家庭菜園という形で農業が拡大していく可能性もあります。実際に、家庭菜園用の農機具や関連商品はここ数年売り上げが拡大しているとか
Commented by bank.of.japan at 2006-10-02 20:23
von_yosukeyanさん、改めてコメント多謝です。子どもの頃、農薬まみれになった経験から、低農薬or無農薬農業は相当な経験・知識・労力を必要とするのだろうなあ、と漠然と想像するのみで、ご指摘のような疑問点は持っておりませんでした。木酸は環境負荷が高い、というのは意外でした。当面のあり方としては、取りあえずは家庭菜園が普及していく、という姿なのでしょうね。
Commented by つっちー@雲南 at 2006-10-04 17:33 x
農業がこれだけ話題になっているというのは、
うれしいです。『日本の農業をどうするのか』は、
キチンと向き合うテーマでもあるとおもいます。
異業種からの農業の参入などがありますが、
余り成功していないのが実態です。
ポジティブリストの実施で、日本に農産物が入りにくくなり・・
農産物が、さらに値あがる可能性があり、
価格格差は、ひろがっていくのではないでしょうか。
つっちー@雲南
Commented by bank.of.japan at 2006-10-04 20:46 x
つっちー@雲南さん、どうもです。最近の資源高は、世界的な人口増加もあってちょっと不安も覚えます。特に食(農産物)は、供給が途絶えると生死に関わりますので。今後ともよろしくお願いします。
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