私は分類すると「マスコミ」の記者に入るが、普段書く記事は専門家向け(金利市況等も含む)が大半で、マスメディア向けは非常に少ない。通信社の仕事は新聞社とほぼ同じだが、新聞に載るような記事は普段はあまり書いていない。社業として、専門ニュースを扱っており、そちらの比重が極めて大きくなっているためだ。ブログ界ではマスコミがよく話題に上るが、私自身は会社の特性でマスコミに所属するが、仕事自体は全然マスコミ的でないので、マスコミの話題はどちらかと言うと非マスコミ側の意識で眺めている感が強い。
これは「不特定多数」(数百万人)を念頭に記事を書くのがマスコミ記者とした場合、私の場合は「特定少数」(数千人、数百人、場合によっては数十人)を念頭に置いた“ミニコミ記者”に近いからだと思う。なぜこうなったのかは、実は私にもよく分からない。金融(最初はマーケットが中心)に関わるにつれ、徐々に興味を持ち、そのうちに面白くなり、気が付けばこうなったという印象が強い。職業も偶然の産物ながら、職務もそうだったというわけだ。 ただ、マスコミ全般を見渡した場合、他社の事情は良く分からないのだけれども、(経済に限定して)特定分野に特化した記者はやはり少数派であるように思われる。一般的には1-2年程度で各クラブを回り、経済・産業全般のゼネラリスト的な記者に育っていくのが実情のように思われる。日銀記者クラブでも、記者によっては二回目、三回目のケースがあるが、マスコミ系は1-2年で交代しているようだ。 私として、ゼネラル指向がいいのか、専門指向がいいかは、何とも言えない。一人で両方こなすのがベストであろうが、金融に限るとこれは中々難しい。各国の資本規制緩和を背景にした金融グローバル化、デリバティブに代表される金融技術の発達、これに加えて日本は量的緩和という一般的には難解な金融政策に突入し、金融全般を短期間で理解するのは困難な状況となっている。仮に当ブログをご覧の方で、マスコミの記者を希望し、それが「経済」であるならば、私の推測ではマスコミは今よりは専門性が高まるだろうと予想されるので、事前に専門にやりたい分野をイメージしていた方がいいと思う。
by bank.of.japan
| 2005-12-05 00:49
| マスコミ
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