自民党、圧勝であった。これによって金融政策はどうなるのか、ざっと考えてみた。
一義的には、景気動向が鍵を握る。 ハッピーシナリオは、「景気が“相当に長期にわたる”持続的な回復軌道に乗る→デフレ脱却→税収も増加→金融も財政も正常化」である。こうなればいいが、可能性は限りなく低ように思える。ただ、景気が回復局面にあるうちは、日銀としては金融政策の正常化を模索するだろうし、政府・与党との関係もさほど緊張はしないと思われる。 問題は、景気が下降局面に入ったとき。この場合、日銀が何をやるかではなく、新政権が何を求めるかの方が重要となりそう。新政権が日銀の判断を尊重すればいいが、例えば竹中氏の影響力が強まると、日銀としては苦慮しそう。国民的な支持が高い政権に楯突くのは難しい。対立関係に陥ると、日銀は抵抗勢力として扱われるリスクがある。 二義的には、新政権の構造改革路線。「改革」がどこまで具体的なものかはよく分からない。郵政民営化で終わりか、財政再建まで踏み込むのか。仮に後者が主眼であるとし、具体的な成果が政府債務残高の減少であるなら、緊縮財政が景気にマイナスの影響をもたらす。(景気に配慮した財政健全化路線もあり得るが、それでは債務残高は減らないし、再建先送りに限りなく近いと市場からはみなされるだろう)。 従って、新政権が借金を減らすぐらいの改革をやると、改革支持の日銀は阻止できないし、政府が金融政策で何とかしろと圧力をかけると抗し切れない。 一方、新政権が建前の改革に終始し、借金が減らない場合。当面は政府・日銀は景気動向をにらんでそれぞれそれなりの政策を運営。ただし、何らかの理由で政府債務のファンディングがうまくいかなくなると、日銀がその面倒を見る可能性大。 結論 強力な政権の意向に逆らえない。場合によっては日銀は抵抗勢力になるリスクあり。 ちなみに、日銀関係者も含めた私の周辺では、郵政改革では政策の実行力はともかく民主党案に理解を示す向きが多かった。
by bank.of.japan
| 2005-09-12 18:26
| 日銀
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