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政策委が節度を失う理由=ある委員、恥をしのんで注意
 3月15、16日に開催された金融政策決定会合の議事要旨が公表された。注目は、金融政策運営の対外情報発信に関するある委員の発言。
 「(最近の情報発信をめぐっては)市場の一部には混乱を招いたとの評価もみられる。今後は細心の注意と節度をもって臨む必要がある」
 そもそも中央銀行の政策論や情報発信が、細心の注意や節度を持って行われるのは当たり前。これを身内から指摘されるのは、かなり恥ずかしいことであろう。「ある委員」も恥をしのんで注意をした、ということか。私の勝手な推測では、任期満了が目前に迫っていた植田委員だったのではないかと思うのだが。発つ鳥、言うべきことは言って発っていった、ということだろうか。
 技術的な引き下げがいかに理屈が通らないか、情報発信のあり方としてどうしてちぐはぐになったのかは、ここではあえて繰り返さない。ただ、そもそも論として、なぜ日銀は情報発信において不注意になったり、節度を失うことが多いのだろう。振り返ると、ゼロ金利解除も強行突破だったし、VARショックのときも情報発信が問題になった。
 多分、政策運営が感情的なのではないか。ゼロ金利も量的緩和も日銀は好きではない。基本的に嫌々政策を運営しているから、そこから逃れたい余りに情報発信にバイアスがかかっているような気がしてならない。利上げは勝ち、利下げは負け、という金融政策の勝ち負け論。日銀マンはそんなことはないと否定するが、速水体制では一貫して負けっぱなしで来て、勝ちに行ったら大負け。福井総裁になってからは、積極果敢に負けてきた。福井総裁自身も本当は量的緩和など好きではないから、技術論で先走る委員らを敢えて止めないのだろう。
 潜在的に感情的な政策運営を行っているなら、多分節度をまた失う可能性が高いとみているのだが…。
by bank.of.japan | 2005-05-09 21:00 | 日銀 | Comments(0)
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