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財政諮問会議『21世紀ビジョン』=避けられないシナリオ?
財政諮問会議の『21世紀ビジョン』(http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2005/0419/item10.pdf)。躍動する未来に向けて構造改革、財政健全化の必要性を訴えている。それはともかくとして、気になるのは“避けるべきシナリオ”。すなわちサボったらどうなるか、を示したもの。
箇条書きにすると
・人口減少と老齢化に伴って生産活動が縮小
・ただでさえ専門性と独創性に欠ける労働力が基礎能力でも劣化
・優秀な人材が国外に流出し、暮らしが貧しくなる
・家計貯蓄に依存した資本形成が困難になる
・限られた優良企業を除くと国内での資本不足に直面し、投資が停滞
・官への過大な依存が続くと公共サービスの維持が困難化
・将来世代に負担を先送りすると国債発行額が累増、財政の信認喪失
・円の信認も失われ、資本が流出する
・こうした財政破綻による経済危機は避けなければならない
 以下、これでもかこれでもかと悲惨な例が紹介されている。「健全な危機意識を抱いているもらうために、あえて提起する」としているのだが、いずれの例もごもっともうなずくしかないぐらい現実味に溢れている。指摘されてなくても、そう思っている向きが多いのではないか。それにこれらの悲惨例の書き方、妙に気合が入っている印象も受ける。「希望格差社会が深刻化」し、「郊外のニュータウンはゴーストタウン化する」と最後は結んでいるあたり、リアリティあり。
 なお、今後の金融・財政政策の在り方としては、財政が健全化に努める一方で、「安定的なマクロ経済運営を行うための基本は金融政策である」と断定。具体的には「インフレターゲットの導入を検討する」となっていた。やっぱり日銀にツケが回されるわけで。言わずもがな、かな。
by bank.of.japan | 2005-04-26 01:31 | 経済 | Comments(3)
Commented by Gackt at 2005-04-27 09:35 x
いつものことですが、今後の政策運営について財務省は日本銀行に露骨に責任を押し付けすぎのような気がします。不況時こそ財政出動が必要なのにそれができないのは、緊縮財政が必要な時に放漫財政を行ったつけなのだから、その辺から責任の所在を明確にしてもらいたいと思います。財務省としてはそもそも財政政策自体に意味がないという立場なのでしょうが…
ところで、少しお聞きしたいのですが、旧日銀法の枠組みで日本銀行が大蔵省に実質的に完全に統制されていたというのは本当なのでしょうか?バブル経済のヒートアップと、その崩壊後の不況の深刻化について、金融政策運営の失敗(引締・緩和の遅れ)を指摘する議論がありますが、過去の金融政策運営の失敗の責を誰が負わなければならないのかという問いにおいて、大蔵省と日本銀行の実質的な関係が非常に重要な意味を持つので、気になりました。
Commented by bank.of.japan at 2005-04-27 18:24 x
旧法時代、私は海外におり、取材機会を逃しました。ただ、古株の記者らによれば、完全統制かどうかはともかく、かなり影響を受けていたと思います。90年前後、当時の蔵相(橋龍)の怒りを買い、利上げを白紙撤回した事件が象徴的です。バブル崩壊の責任論は、大蔵・日銀の関係で見ると矮小化されがちで、これはマスコミも含めた全員の責任と言った方がフェアですね。当時、高騰した土地を下げろの大合唱でしたから。利上げも効いたし、土地融資の総量規制も効いたし。日本型の壮大なバブルが弾ける時、金融政策は無力だと私は思っています。FEDは後知恵で日銀の緩和が遅かったとのりポートを出しましたが、違和感があります。財政問題も突き詰めると予算を膨らませる政治家、それを選んだ国民はどうなのかとなり、大蔵省を責めても仕方がない面もあります。ただ、苦境になると誰かに責任を押し付けたくなる風土ですから、日銀がスケープゴートになっているのでしょう。あのころ、こんなに悲惨な目になるとはほとんど誰も予想していなったですから。分かり始めたときには既に手遅れだったのが実情で。きちんとした答えになっていないですが、Gackt さん、今後ともよろしくお願いします。
Commented by Gackt at 2005-04-28 01:45 x
丁寧な返信をありがとうございます。勉強になりました。
確かに、誰が悪いと決め付けることができるほど、現実は単純ではありませんよね。ある意味、バブルとその後の不況は不可避だったのかもしれませんね…
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