上記の日銀ペーパーが出ていたので、メモ的に内容を簡単に紹介したい。もっぱら個人用の資料としてこちらにアップしておきます。レバレッジ規制はもともと無理筋なものと私は思っていて、バブルに激しく酔った欧米諸国が悪酔いに苦しみ、強制的に飲酒量を制限するようなものであろう。酔い方というのは個人差があって、飲むと悪酔いする人もいれば、ほどほどで済ませる人もいるし、まったく飲まない人もいる。金融システムも同様に国別に違っているので、レバの国際的な一律の規制は現実的ではない。どうしても飲みたい(リスク取りたい)人は、闇物(簿外とか)に手を出すものでもあるし。ということでペーパーからいくつかポイントとを。
・レバレッジ規制は、いくつもの「副作用」を伴う点に留意が必要である。第1 に、レバレッジ規制は、確かにレバレッジを縮小させることができるが、それと同時に、資産の質を劣化させる ・レバレッジ規制の第2 の副作用は、銀行の活動範囲を狭めることによって、資産選択を非効率にする ・G10 諸国の上位商業銀行について、ギアリング・レシオと資産の安全性指数を比較すると、それらの水準に相当ばらつきがある ・金融環境やビジネス・モデルの違いにもかかわらず、世界統一基準でレバレッジ水準に規制をかけると、資産選択が非効率になる ・レバレッジ比率には、オン・バランス項目だけではなく、オフ・バランス項目等を算入することが不可欠である。その際、どのオフ・バランス項目をどのような形で組み込むか、幅広い検討が必要である 結論的には、オンオフ含めて幅広く効率的に規制をかける(しかも国際標準の尺度で)のは現実的には無理だし、このペーパーでいろいろ指摘される副作用を考えると、レバ規制はまあ止めた方がよい。なお、紹介したポイント以外の数式などテクニカルなところは私の手には余るので、ご関心ある方はペーパー(以下のサイト)を直接ご覧いただきたい。 http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp10j06.pdf
by bank.of.japan
| 2010-03-25 21:14
| 金融システム
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Comments(2)
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by
tatsu
at 2010-03-26 09:41
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私も読んで、おぉっ!って思いました。
この手のレポートで、珍しく規制に対して明確に疑問を呈しているので、、、、 それぐらい、レバレッジ規制導入に対する根強い賛成意見が米欧あたりにあるっていうことの裏返しだったりするんでしょうね。。。
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かる
at 2010-04-01 23:21
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歴史的な事実として、こういった欧米的な金融制度は過去20年間において、破たんしたといわれる、前社会主義国家および独裁的な資源算出国に対してまったく、経済的な優位性を確保できなかったことえお認識すべきでしょうな。基本的にこの20年でやってきた会計制度とか、わけのわかん金融制度の外にあった国が世界経済の主役となっている事実をいまだにわからんのですよ、すべてが失敗の金融制度を含む経済規制でしたね。
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