追記 本日(9日付)の「大機小機」のカトーさんは良かったです。ほぼ100%アグリー。私と年代近いですね。金融政策では立場は違えど、切り込みの鋭さに感服ですが、この年金世代間格差の問題ではほぼ同調でありました。読んでスカッとしましたよ。
または債券バブルとか言われることもある。さらには、金利が下がってくると、「いずれ金利が上がって金融機関は大損失を被る」などといった不安を煽る論調も出る。一般的にマーケットはいろいろ動くもので、「ここが絶対に正しい」という水準はない。金利は運用部やVaRなどのショックのように希にしゃっくりを起こして乱高下するが、大まかには景気に沿って動いており、今は不況なのだから下がる方向は別におかしくはない。長期金利は一時0.4%まで下がったのだから、達観すると今はまだレンジ圏であろう。 ものすごい長いスパンで考えると、日本経済は衰退期に入った可能性があり、人口減少・競争力低下が続いていけば、いずれ政府債務の重圧に耐えきれなくなる恐れはあるかもしれない。ただ、アラン・ブラインダーが『金融政策の理論と実践』でも指摘していたと思うが、債券ディーラーは10年後、または生損保のディーラーが20年後、30年後の経済・物価情勢を予測しているわけではなく、比較的短期の要因で売買している(ですよね?)。 現状、債券が買われているのは、売りより買いが多い=買わないといけない状況にある人が多い、ということで、債券に投資しないといけない金があるから買っている、に過ぎない。私が見るところ、超長期ゾーンは生損保が淡々と買い、短期から長期は銀行のポートの人たちが行ったり来たりしており、今は貸し出しも伸びないので、少しキャリーを取りにいっているのだろうと思う。毎年、繰り返される光景で、基本的にみんな押し目を待っているのだけど、実際に押し目が来るとなかなか手が出せず、買いが入り始めるどどーっと買いが入る展開になる。 個人的には、四半期決算を止めて、金利商品の会計を緩くすれば、金利の動きはもっと穏やかになるように思う。「決算」という区切りがあり、そこで収益を競うというインセンティブが生まれ、経営はALMに収益プレッシャーをかけ、イールドカーブの行ったり来たりが起きてしまう。債券運用で一番正しいのは日銀の輪番ではないかと思う。何も考えずに淡々と買う。平準買いの王様である。 ところで、銀行アナリストの方々は、今でも貸出を増やすことを評価しているのだろうか。不況下で全般にクレジットが悪化する中、無理に貸出伸ばす銀行よりも、債券運用に傾斜する方が無難であるように思う。
by bank.of.japan
| 2009-07-09 22:16
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Comments(14)
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hide
at 2009-07-10 01:08
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本石町さんのブログ、大変勉強にさせていただいています。
より深い理解のためお使いになっている単語のイメージを教えていただけないでしょうか。 短期、長期、超長期とは、3か月、1年、10年位でしょうか…。
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一国民
at 2009-07-10 01:36
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年金の世代間格差については、社会保障国民会議委員で慶応大学教授の権丈善一先生のHP(「勿凝学問」シリーズ)が面白いです。
ttp://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare209.pdf ttp://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/seminar/ ttp://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/LRL.pdf あと多数ありますが、年金問題に関しては権丈先生は日経を猛攻撃しておられます・・・
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PK
at 2009-07-10 08:24
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人口と資源のバランスを安全保障(支配できる資源の範囲)の観点からみると7000万人前後がバランスがいいのではないかと思う。
だから人口が減少するのは悪いとは思わない。ただ、マイナス成長に耐える制度が考えられていない。 国債残高を膨大に残したまま、マイナス成長をすると再分配が国家を疲弊させる方向に働き、ホームバイアスも弱くなっていくだろう。いつかは踏み倒しをするしかないだろう。 であるなら、預金課税をして、それをホームバイアス(郷土愛)を強める方向に支出・再分配するほうが良い。預金課税とは長期にわたるゆっくりとした踏み倒しであるけれども、それを納得させる・できる論理は存在すると思う。
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システム5.1
at 2009-07-10 08:28
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本石町さんの解説アグリーです。カトー氏の「大機小機」もアグリーですが、政治家にお願いという部分は...。結局、政治家を選ぶのは国民であって、それを批判するのは天に唾するところ大なのですよね。私もポピュリズムには批判的ですが...。
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takem
at 2009-07-10 08:42
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債券運用に傾斜する方が無難であるように思う。
確かに現在の制度、環境下さらには経済合理性の点でもそうなのかもしれません。しかし、それでは銀行の存在意義とは
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asd
at 2009-07-10 09:43
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私もその日の大機小機良かったと思います。
あのコラムは正直ヘンテコリンな人が多いですが、たまにいい人がいますよね。
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noutori
at 2009-07-10 10:00
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年金の議論は各世代のライフサイクルにわたる負担と給付をまずはっきりさせることが必要ではないか。1973年からの数10年の過小負担にもかかわらず大きかった給付がその後の世代の年金収支にマイナスの遺産となって影響していると思う。世代会計的な収支を明らかにし、過去に過分に払ってしまったものは戻らないのでこの負担をどう処理するのかというように議論を組み立てる必要がある。賦課方式といってもいざ受け取るときには自らの掛け金の利回りに関心があるのは当然で、このような個人を説得するような議論の展開が必要だと考える
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PK
at 2009-07-10 16:27
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今の不況が続いて(企業の貯蓄率が下がり)、日本の家計貯蓄率がゼロになったらマスコミはどう騒ぐのでしょうか?
家計貯蓄率ゼロあたりは、けっこう面白い世界だと思います この辺のところを、思考実験でマスコミのトレーニングを事前にしておくことは重要かもしれません
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モンテカルロ・モナコ
at 2009-07-11 00:48
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日経新聞も以前、年金問題で大チョンボをやったのを記憶しています。
多分、保険料支払と給付の倍率だったかな!? 予定利率の問題を完璧に無視したからだと。 「カトー」様は、ほとんどタコでしょう。 この方は、賦課方式と積み立て方式なら後者を選択しろとおっしゃてられるようであるが、ある意味で結構究極の状況を設定すれば、後者はボツでしょうね。 池田のおっさんにでも解説をやってもらいましょう。 私は、日経新聞を植草氏の指摘に従って、やめようと思ったのですが、なんとか継続することに決めました。 横浜美術館の「フランス絵画の19世紀」を見て良かった思ったからです。 アングルの「ヴィーナス」の下腹部には注目。 PKの解説が楽しみだよ~~~~~。
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モンテカルロ・モナコ
at 2009-07-11 01:06
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どうせ「カンカン・ガクガク」やるなら、前日の十字路のJPモルガンの菅野さんでやりましょう。
これ私のバイアスなので無視してください。 ただ、非常に本質を突いていると思いますが、70%位しか同意しません。 もっとも自分が常に正しいなどと思ったことはありませんが、相手が全て正しいと思ったこともありません。
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かる
at 2009-07-11 01:15
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債券運用の真実をついた、鋭い指摘ありがとうございます。運用担当者は、何者からも独立した聖人ではないということですね。
彼らは少なくとも、それなりの成果を挙げる為に近視眼的な行動を自らとらざるをえない、もしくは単年度決算(今はご指摘の通り4半期)なのでそれなりの評価を期待される上司の目が気になるなど、ということで絶対10yJGBの10年後の最終収益を考えて運用している債券運用者は、いません。なぜなら彼らはそのときいないからです。 でこれとは別の長期運用セクターといわれる方々(年金及び保険)はラダーマッチングさせれば、とりあえず安心なのですが。 しかし時価会計なので、そんな運用は馬鹿扱いされるので、しかたなく前者に近くなります。 それでは質問です。20年前に160円で買った7%の米国債が今満期を向かえました、果たしてこの運用の成果はいかに。当然その間にあった円高局面の含み損は膨大なものになりますが。その間の7%を教科書のごとく複利運用したとはいいませんが。
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bank.of.japan at 2009-07-11 17:36
多くのコメント多謝です。かいつまんで対応を。
hideさん、どうもです。人によって多少違うかもしれませんが、短期は1年まで、長期は10年前後、超長期は20年以降、という概念です。 一国民さん、どうもです。情報、多謝です。 システム5.1さん、どうもです。政治家を選ぶ国民に最後はかかってくるのは確かですね。 takemさん、どうもです。銀行(資金仲介機能)が、資金不足の主体(政府)に資金を流すのは自然だと思います。 asdさん、どうもです。そうですね。
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bank.of.japan at 2009-07-11 17:39
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Polly
at 2009-07-11 22:17
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かる様、
無責任な野次馬です。申し訳ございませんが責任とれません。20年前に160円で米国債を買った運用担当者はどう評価されるのでしょうか?どうせ辞めてるから関係ない?
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