服部正也氏が着任したときのルワンダ中銀の状況
 「ルワンダ中央銀行総裁日記」を読書中。まだ50ページ程度しか読んでいないが、これだけでもネタがぎっしり詰まって想像を絶する面白さである。ずんちゃかさん、すいません、面白さを超過小評価しておりました。お宝本を放置していたことが激しく悔やまれます。で、つかみ的に、服部氏が着任したときのルワンダ中銀の状況を紹介したい。それは劇的であり、登場人物はキャラがたち、中銀版冒険小説と言っていいほどである。
 ルワンダは貧しい国だが、それでも一国の中銀だからある程度の体をなしているだろうと思いきや…。
・バンキングを知らない副総裁のハビ君が出迎え
・中央銀行はペンキの剥げかかった二階建ての家
・ハビ君が連れてきた総裁付き運転手は制服ボロボロ、ボタンは取れ、はだしであった
・運転手チトー君はハビ君の甥だった
・総裁公邸と思った家は、急病で帰国した外人職員の住まいで、用意されていた食料は実は残飯だった
・理事のピララ君はいきなり病気で帰郷したいと言い出した
・理事会議事録を読んだら、過去10カ月の間、一度も金融政策を議論していない
・理事会と総裁のどちらが上位かの議論が繰り返されていた
・一番ビックリしたのは銀行券のストックが足りないことだった
・ベテラン支配人のスコール君によると、前総裁は銀行家でなく、券の必要性を認識していなかった
・行内見学。おしゃべり、居眠り、そして空席が目立つ。空席の理由を聞くと「どうしたのでしょう?」との答え
・でも行内には派閥がある。一般職員は銀行業務を何も知らない。
 服部氏はこの状態から、混沌としたルワンダ経済の建て直しに取り組むのである。大統領は国民生活向上の熱意に燃えているが、人材に恵まれず、経済顧問団は列強の権益確保に邁進している。そうした中、服部氏の活躍はいかに。ページをめくるたびにドラマがあり、同時に金融経済政策の極意も披露される。
 官庁・日銀を回り、後者に入る意向を固めた学生さんから読むべき本を問われたのだが、この日記を薦めたい。ただし、日銀のバンキングは完成の域に近く、伸びしろがない。服部氏の日記を読んだら、日銀の業務がつまらないと感じるのでないか、と思った。
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by bank.of.japan | 2009-07-08 01:01 | その他 | Comments(11)
Commented by PK at 2009-07-08 07:30 x
昔読みました。楽しい本がたくさん出た時代の、懐かしい本です。
この人は、大日本帝国の旧制高校の雰囲気・風格・態度を持っている人です。だから、こういう本を残せた。北杜夫とか、そういう類の人たちです。
ただ、ここに書かれたルアンダも大虐殺の舞台になってしまう。
そういう記憶と印象が重なり合って、とても複雑です。

大日本帝国には教養があったが批判的思考がなかった。
そのためにマルクス主義の罠を克服することができなかった。
今の日本も結局同じ。教養がない分、もっと酷く悪い。
Commented by k at 2009-07-08 09:42 x
初版が1972年ですから、もう読んでから30年くらいたつと思いますが
今でも記憶に残っている本です。
しかし上記にもありますが、例の大虐殺でせっかくの成果も
無になったのでしょう。
Commented by O山O at 2009-07-08 11:30 x
面白そうですねぇ~
近所の図書館にあるみたいなんで
近々 借りに行って見ます。(^ω^)
Commented by tom-kuri at 2009-07-08 12:07 x
ああ、不肖わたくしも名著の積読。読まなきゃ♪
Commented by zoomchaka at 2009-07-08 22:08
突貫でがつがつ書いたらひでえ書評で失礼しました。
今のルワンダは、決してその、内戦で何もかもが灰燼に帰したわけではなくって、
よくみると、やっぱカイバンダ/服部経済政策の延長線上にあるんだなってことを
書こうと思ったんですが力尽きました。結果いいことも悪いことも、その限界も。
これはまた改めて。

いい本をご紹介ありがとうございました。
Commented by bank.of.japan at 2009-07-08 22:08
PKさん、どうもです。その後のルワンダの悲劇を知っているだけに、複雑な思いも抱きます。

Kさん、どうもです。民族的な対立を解消するには発展が不十分であった、という面も確かにあります。

O山Oさん、どうもです。面白いことは請け合います。是非、ご一読を。

tom-kuriさん、どうもです。お勧めですよ。
Commented by かる at 2009-07-08 23:53 x
今でも記憶に残る一冊ですので、すぐ思い出しました。その後の歴史はありますが、当時こういう方が本邦にもいたことに、素直に感動しました。
Commented by bank.of.japan at 2009-07-09 00:33
zoomchakaさん、どうもです。中央銀行を立て直す場面は、完成された日銀では分からないところが浮き彫りになり、非常に新鮮です。この本を読み終えて、改めて悲劇も含めたルワンダを見直してみたいと思います。

かるさん、どうもです。IMFからの派遣で各地に行く人材はちらほらいるようで、目立たないですけど、縁の下の力持ちになっているようです。日銀からIMFに出向。そのままIMFプロパーになり、アフガン担当になった方もいるようです。
Commented at 2009-07-11 01:03 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2009-07-12 20:56
↑さん、どうもです。是非お読みください。面白いと同時に業務面も興味深いです。海外に行かれるのであればお気をつけください。いずれお会いする機会があることを楽しみにしております。
Commented by プロパーの人は偉いです at 2009-07-14 01:10 x
しかし、財務省組はひどいようです。
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