感無量です。鈴木さん、ありがとうございます=『巨大銀行の消滅』
 旧長銀最後の頭取を務めた鈴木恒男氏の『巨大銀行の消滅』(東洋経済)。私にとっても、旧長銀の国有化は日銀クラブに配属間もない頃のインタバンク取材で忘れられない出来事で、同書は目を通そうと思っていた。先般、三越前の某書店で手に取った。レジに持って行く前に、あるページをチェックして、しばし立ち尽くした。約10年前に私が書いた論評記事がかなり詳細に紹介されていたからだ。
 旧長銀の知り合いから私の記事が同書に出ていることは知らされていたが、簡単に触れられている程度だろうなあ、と思っていた。ところが、実際には1ページ近く割かれており、驚いた次第であります。関係者の方々の記憶に残る(または面白い)記事を書きたい、と常日頃思っており、あれから10年余りを経て予期せぬ形で思いがかなった格好であり、まさに記者冥利に尽きます。鈴木さん、ありがとうございます。
 本書で取り上げられた「風説に耐えた資金繰り」は、私にとっても記憶に残る記事の一つである。簡単に当時の背景を。インタバンク市場は97年秋、三洋証券の法的破たんで危機的となり、拓銀や山一証券を飲み込んだ。その後は、徐々に落ち着き始めていたが、98年半ばに月刊誌報道で旧長銀が狙い打ちされた。この報道、新味に乏しい内容だったが、扇情見出しの『破たん』が一人歩きしたのである。
 旧長銀の資金繰りはこの報道以降、急速に厳しさを増していった。「風説」というのは怖いものである。たまたま長銀が標的となったが、当時の状況からすると他の大手行も標的となりえた。それが都銀など商業銀行であれば一般預金の引き出しが活発化し、リテールと市場の両面からの締め出し圧力は長銀以上となった公算が大きい。
 長銀の資金繰りをめぐっては新聞やテレビの一部が「来週にも特融へ」とか前打ちを始めていたが、インタバンク取材ではそういう感じはなく、ぎりぎりでつながっている感じであった。資金繰りは10月23日まで貫徹した上での国有化であった。その瞬間を切り取った記事である。

念のため 私の記事は、本書ではロイターの配信となっていたが、これは情報配信のプラットフォーム上の技術的な要因によるものと推察される。
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by bank.of.japan | 2009-05-05 18:46 | 金融システム | Comments(8)
Commented by Yute at 2009-05-05 20:04 x
おめでとうございます。なんか読んでいて、幸せのお裾分けにあずかったような気になりました。これからもガンバッテください。
Commented by PK at 2009-05-05 21:45 x
資金繰りというのは、数々のドラマを生みます。
Commented by bank.of.japan at 2009-05-06 00:51
Yuteさん、どうもです。ありがとうございます。ブログも何とか続けていきたいと思っております。よろしくお願いします。

PKさん、どうもです。確かにドラマがありました。今回の危機でも多くのドラマがあったと思います。
Commented by durian at 2009-05-06 18:49 x
11年前の6月5日の朝、ディーリングルームで日経朝刊に載った月刊「現代」の広告を見たとき、私は思わず食べたばかりの朝食を全部戻しそうになりました。その「現代」も昨年末で廃刊。
一方、本石町さんの書かれた「風説に耐えた資金繰り」の記事は、疲れ果てた同行の行員達をどれだけ勇気付けたことでしょう。
当時同行の資金繰りを付けるため、中心となって奔走したメンバーの一部が、部長職となってまだ同行に残っています。
再び彼らの出番が回ってきたなんて言う事は考えたくないですが…。



Commented by a-kun at 2009-05-06 23:41 x
当時、長銀の破たんは私にはとてもショックなことでした。というのも(当時インターバンクからは離れてましたが)私の目から見て長銀の資金繰りは「合っていた」はずであり、資金ショートでの「倒産」ではなかったからです。その意味でも「長銀破たん」は極めてエポックメーキングな事件だったなあ、と今更にして思います。
Commented by bank.of.japan at 2009-05-07 22:30
durianさん、どうもです。記事が多少とも何かの役に立つことがあったのであれば私としても本望であると思う次第です。ありがとうございます。

a-kunさん、どうもです。結局のところ資金繰りが続いてしまったので、行政的に債務超過の認定をした、という流れでしょうか。現場の意地が示された形であったと思っております。
Commented by 小野(東京都港区) at 2009-05-08 00:10 x
収益あがらなくても不良債権片付いた(?)で再び蘇った(?)のが日本のメガバンクと
それら以外の株価と日本の景気、だった・・・としても
アメリカの金融と
アメリカ経済がはたして、「不良資産全く片付かなくても」「収益復活」で
「再び蘇るか」どうか、それはまだ判らない・・・少なくとも私には。私だけ・・・か??

一時期日本のメガバンクの自己資本は繰延税金資産と優先株、優先証券が中心、なんて
いわれてた様な時期もあったと思うのですが、いまや、あの金融超大国アメリカの、それも
最も大きな各金融機関でそれらが取り沙汰されてる。バンカメの優先株→普通株の報道等も
だし、あと繰延税金資産も!? 日米の会計の違い等もあったかもしれぬが日本の5年認めるか
どうか等の騒ぎもまだほんの数年前。もっとも、最近でも、それも金融機関以外も含めて
「繰延税金資産過大上場企業ランキング」なんてのも、どっかで出てましたが(汗)...
額面割れ地銀も株価も含め相変わらずしぶとく頑張ってる感じ?先日久しぶりに都内の
南日本銀行に行きましたがあそこの株価はまだ額面でも何でも無かったと思う(笑)
Commented by 小野(東京都港区) at 2009-05-08 07:04 x
LIBOR-OISスプレッドだけみると金融危機対策は「いまんとこ(?)効果みられる」と
認めないわけにはいかないのかもシレマセンね・・・いつものようにもっぱら「株」「為替」
などなどばかりから、まるで欧米金融機関や金融危機のその後まで判断し続けてしまって
いたかのような気もして、そんな自分自身にちょっと(、だいぶ?)ガッカリ(汗)・・・・・
さきほどTV東京で東短リサーチ加藤出氏がコメント(金融危機完全に解決等とは仰って無かったが)
されてるのを聞いてやっと「はたと気がついた」。もチョット早く気がついときゃまだ
色んな投資出来てたかもネ^^;、まぁ、気がついてて当たり前なんですがT_T
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