ファーガソン教授の不吉な予測=絶対に避けて欲しいシナリオ(追記あり)
 お気づきであろうと思うが、このところ海外ネタが増えている。金融経済系のブログはやはり海外が充実しており、危機の震源地でもある欧米の経済&金融専門家の受け止め方は非常に参考になるためだ。まあ、英語で読むのは難儀ですが(苦笑)、面白いものが多い、という理由が大きい。参考までに、ブログ群への入り方はいろいろあるが、ゲート的な存在としては「naked capitalism」や「Calculated Risk」がお勧めである(他に良いのがあればご指摘を)。いずれもくまなくトピック的な話題にリンクを張ったり、エントリーを挙げたりしており、ブログリストも充実している。画面構成としては後者の方が絞り込まれた感じがして見やすいです。
 ブログウォッチするとき、サイト名から大まかに内容が推察され、その中で破局系的なものは煽りが多い感じがしてなるべく避けているのだが、先般ちょっと紹介した「Financial Ninja」に暗い内容のエントリーがあった。最初はブログ主のふざけ気味の煽りかと思ったが、真面目な論調の紹介でありました。具体的には、米ハーバード大学のニーアル・ファーガソン(Niall Ferguson)教授の主張であった。この教授、初めて存在を知ったのだが、ハーバードに留学した日銀マンによると、経済史・歴史方面では著名な方のようですね。ニーアルかニアルか二オールか表記が難しいが、取り合えずニーアルとした。
 ざっと乱暴に主張をまとめると、①今回の危機は中央銀行がもっぱら一般物価だけに目を配り、資産バブルを放置したため②世界的な金融危機によってスイスや英国などはデフォルトする恐れがある③経済苦境は社会情勢を不安定化させ、civil warが起きかねない④そういった流血の騒乱を経て危機が終わるのだろう。まあ、こんな感じである。
 Financial Ninja氏はこの間は金・銀をショートし、ハイパーインフレ&全員死亡論を揶揄する文もあったが、中長期的なシナリオにファーガソンロジックをベースにした破局リスクを念頭に置いているようだ。100年に一度の危機は、確かに経済危機で政治が混迷化し、国内or国家間の紛争を招くリスクがあるが、それは避けるべきだし、そうならないことを祈っている。
 それにしても海外ブログの論調は暗い。まあ暗いニュースしかないからだが…。オバマ大統領の演説は立派だったが、多くはシニカルで、ガイトナーやバーナンキに対しては批判も多いし。欝な日々が続いております。

ps ファーガソン教授の評価など詳しい方いらっしゃればご教示頂くと助かります。メディア露出も多い先生のようで、それなりの影響力あるように見受けられ、要ウォッチの識者ではないかと見ております。

追記 日銀人事があった。早川氏が理事に昇格。おめでとうございます。これに伴って一連の異動があり、まあそれなりに各部署で雰囲気の変化も生じるのだが、最も雰囲気ボラが激しいのは関西方面ではないでしょうか。いかがですか。
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by bank.of.japan | 2009-03-03 21:58 | 経済 | Comments(13)
Commented by 名無之直人 at 2009-03-03 23:01 x
Civil Warが最も懸念される国(地域)は、おそらく中国でしょうけれど、国境を接する国に戦争をふっかけても景気は良くならないし、共産党(国家)政府を転覆したとしてもその先にあるのは更なる混沌。
 憤りを隣人にぶつけても問題が解決されるわけではないと学習した世界を称えるべきでしょう。だからこそ、カタルシスの無い、出口の見えにくいトンネルが長く続くかも知れませんが。
Commented by Ph.D Candidate at 2009-03-03 23:42 x
3番目の指摘は、長期時系列を得意とするハーバード大学の研究者
らしい示唆です。規模は別として、市民社会として分断されていない
であろう国家が一つもないのが、現状の悲しい側面だと思います。

このような状況を回避するのは、やはりこれまでの世界的なバブル崩壊
の歴史から「採用してはいけない政策ミックス」をきちんと認識した上で
最悪の選択をとらない事だと思います。
そうそう、ハーバードの歴史学者が最低限測るために設定する期間は、
なんと200年だそうです。
Commented by モンテカルロ・モナコ at 2009-03-04 00:02 x
>①今回の危機は中央銀行がもっぱら一般物価だけに目を配り、資産バブルを放置したため

これは、日本の1980年代後半と同じ。

米国は、日本の1990年代の失敗ではなく、1980年代後半の失敗から学んでほしかった。

因果関係の洞察の問題でしょうか?

Commented by Yute at 2009-03-04 00:08 x
初めてコメントさせていただきます。

ニイアル(多分)・ファーガソンは基本的には歴史学者です。スコットランド人です。ただ彼の最新刊、「The Ascent of Money」があまりにタイムリーに出版されたため、メディアでコメントを求められる機会が多くなっているようです。(例えばCNN)

もともとの出世作は「大英帝国の衰亡」やら、「20世紀の世界大戦」などの分野だったようです。「The Ascent of Money」は現在読書中ですが、おすすめできる面白さです。

とりあえず、ご参考まで。
Commented by bank.of.japan at 2009-03-04 00:35
名無之直人さん、どうもです。戦争・紛争を仕掛ける合理性はないのですが、人間行動は非合理的なことも多いので、経済危機が深まる先行きは不安はあります。通常不況が深くなる程度で済めばよいのですが…。

Ph.D Candidateさん、どうもです。200年は長いですね。まあ、大国の興亡を測るにはそれぐらい必要ですが。今後の経済・政治情勢では賢明な政策が取られることを希望してやみません。

モンテカルロ・モナコさん、どうもです。バブルの制御は容易ではない、したがって政策目標にならない、というのが中銀界のコンセンサスです。せいぜい制御の努力をする程度かもしれません。この点はこの先生に同意しかねるところです。

Yuteさん、どうもです。ご教示ありがとうございます。原書をすらすら読むほどの英語力はないですが、引き続きブログ上に出てくる論調には注意したいと思います。
Commented at 2009-03-04 01:00 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Non日銀 at 2009-03-04 08:58 x

Wall Streetのサブプライム詐欺師まがいの連中、シティのサブプライム詐欺師まがいの連中、権威の失墜したGM、Citigroup、AIG、FRBの幹部も皆英語を話しています。

英語の思考パターンにはどこか危険なところがあるかもしれない(真笑)

ところで、ノーベルのKrugmanは大盤振る舞いを推奨しています。
He also explains why he believes Obama should spend even more money stimulating the economy than President Franklin Delano Roosevelt did in the wake of the Great Depression.
ttp://www.pbs.org/now/shows/440/krugman.html

なお、元ロスチャイルド家研究家のファーガソンについては、「憎悪の世紀」が面白いかもしれないですね(日本語訳なのが好ましい)。
ttp://book.asahi.com/review/TKY200803040129.html

Commented by PK at 2009-03-04 11:17 x
市民戦争の可能性が一番高いのはアングロサクソン系でしょ。
流動性を経済サイクルの中に閉じ込めるのに失敗しているので。
日本のバブル崩壊が持ちこたえたのは間接金融と失業率の低さ(雇用確保)で、ともかく流動性をサイクル(循環)の中に閉じ込めることができたから。
米国は開いてしまって循環を形成していない。
だから日本を上回る規模でバランスシート(バッファ・時間の猶予)が拡大している
前の大恐慌は、戦争経済で人モノ金の再組織化を達成したが。
日本は目立たないようにしていないと。
論理なしで、理屈抜きで叩きまくる時代が来ると思う
Commented by PK at 2009-03-04 11:29 x
ニューズウィークで日本の政治がボロクソですが、今の日本は弱って見えているほうが良い。どうせ在日米軍がある限り、政治のリーダーシップなんて生まれっこない。
ポンコツなのは、日本のマスコミです。こいつらのせいで中小企業は瀕死の瀬戸際まで追い込まれている
Commented by Fellow Traveler at 2009-03-04 21:26 x
Niallの発音はご指摘のように複数あります。しかし、本人出演のTVのクリップを見る限り、ニールと発音するようです。本人のHPを参照してください。
Commented by bank.of.japan at 2009-03-05 00:43 x
非公開さん、どうもです。コメントありがとうございます。案の定ですね(苦笑)。

Non日銀さん、どうもです。クルーグマンはほとんどリチャード・クーのようになってきた感じです。

PKさん、どうもです。昔から政治はぼろくそに言われており、まあそんなもんかもしれません。マスコミもそうかもしれません。

Fellow Travelerさん、どうもです。ありがたいご指摘です。今後、登場してもらうときは「ニール」としたいと思います。
Commented by 遅ればせながら:ファーガソン at 2009-03-05 10:06 x
バロンズより:Three years ago Time magazine named Ferguson one of the world's "hundred most powerful and influential people."
Commented by bank.of.japan at 2009-03-05 17:51
遅ればせながら:ファーガソンさん、どうもです。情報、多謝です。かなり影響度ありそうな方ですね。注目していきたいと思います。
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