イエレン総裁の講演=日銀量的緩和は「効果ない」
 カテゴリーに「FRB&others」を追加しました。とりあえず本日以降から適用します。

 今回は、やっぱり「質的緩和」なんですね=バーナンキ議長講演よりの関連。日銀の量的緩和政策の評価を避けた同議長だが、サンフランシスコ連銀のジャネット・イエレン総裁は15日の講演で「the Japanese experience suggests that simply expanding bank reserves—even by a very large amount—had little effect on bank lending or on the economy more broadly」とはっきり言っておりましたね。こちらの方のブログで気がつきました。ありがとうございます。イエレン総裁講演の場所はこちらです。
 理由としては、
 「In the Bank of Japan’s case, the expansion in reserves resulted from the deliberate adoption of an explicit numerical target for them. The concept underlying the Bank of Japan’s intervention was that banks might be encouraged to lend by replacing their holdings of short-term government securities with excess cash. However, near the zero bound, short-term government securities and cash are almost perfect substitutes, so exchanging one for the other should have little effect on banks’ desire to lend」
 ということで、これはまあ日銀もよく説明していたことと重なる。で、ここで日銀政策委の量的緩和をめぐる論議を振り返りたいのだが、まあざっと分けると以下の通り。
・速水日銀 量的緩和を実施。しかし、増やしても効果ねえなあ、と早い時期から達観(イエレンと同じ発想)。でも、景気は悪くなりそうだし、何とかしないといけない。そのうち追い込まれるかもしれないし、とか不安になった。そこで、CPや社債、究極的には株とか不動産とか買いきらないといけないかあ、という論議があった。でも、「不健全な領域」(三木委員)であるため、躊躇する。苦し紛れにプルーデンスで株を買う。
・福井日銀 効果ないとみんな思っていたら、総裁主導でバンバン増やす。緩和の振りをした。ラッキーなことに景気が回復して解除。
・白川日銀 CP買いきり(昔の不健全な領域)。
 白川総裁&現行政策委メンバーは、量的緩和(裏側としてのゼロ金利)はほとんど効果がない、と思っていたし、それに真面目なので、福井さんのように緩和の振りをするという発想もない。ということで、質的緩和に恐る恐る踏み出した、ということであろう。

しつこく書くが、準備預金への付利(吸収機能or売手状態)をマネタリー的にどう考えるかはやっぱり整理が必要ではないかと思うが…。

 日銀、FRB、そしてイングランド銀行もそうだが、恐らく主要国の中銀は金利は超低金利ゾーンにしたまま、資産サイドにリスク資産を抱え込むという質的緩和を模索していくように思う。市中からリスク資産を買う、ないしは担保に取る、というのは直接的には市場機能回復に効果があり、さらに追求していくと、実践可能性はともかく、中銀的に見て正しいリフレ策になるのではないかと思う。この辺の整理はまたやります。

ユーロ、いよいよ「烏合の欧衆」の矛盾が出てきそうな感じでまずいです。これも取り上げないと。
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by bank.of.japan | 2009-01-21 21:56 | FRB&others | Comments(18)
Commented by かる at 2009-01-21 22:12 x
経済統合と政治統合ができていない矛盾をついて、いくのはいいが。何でオバマさんの時期に当てたのか、よっぽどやばいので、この時期にあてたか、しかし一気に欧州通貨に対するコントロールを取り戻すという意味では有効でしょうね。民主党はGSとの関係が強いことを考えれば一気に、復活を果たす契機になるでしょうから。
中東もぴったしイスラエル撤退で、原油価格もつぶしてシナリオどおりてな感じですが。
しかし私もオバマに期待します。
Commented by 一国民 at 2009-01-21 22:57 x
>「烏合の欧衆」

うーん、言い得てるぅ(爆)
Commented by PK at 2009-01-22 06:28 x
米国は、軍事力はもちろん、地理的な展開、OSとかグーグルとかアマゾンとかそういう情報のプラットフォームの占有、言語(大学・知識)と通貨の拡大への関心は、強欲的ですね
今回の金融危機は、日本の経済危機のプロットを利用した戦略展開と、どうしても陰謀論的に考えてしまう。
Commented by a-kun at 2009-01-22 07:26 x
あああああ(汗)
ある意味、殴り書きのようなテキストを読ませてしまって申し訳ないです。追加しておくと、今回のイエレン発言で大事なことは2点あって、そのうちの1点が今回取り上げていただいた(ゼロ金利下における)量的緩和の効果がない(正確にはイールドカーブ全体への働きかけは否定してないから「薄い」というべきか)ということをFRBも認めたこと、そしてもう1点はその論拠がほぼ日銀の総括に従っていることでしょう。市場参加者としては非常に興味深い示唆だと思って取り上げた次第です。
それとおっしゃる通り、「準備預金への付利をマネタリー的にどう考えるか」というのはきちんと整理すべきだと思います。いずれ当局者から見解が出るにせよ、私も考えてみたいと思います。
Commented by PK at 2009-01-22 08:33 x
恐慌過程と言うのは、肉離れとかぎっくり腰のような重要な生産結合の破壊を伴いますから、大企業は地方銀行などと協力して重要な部品や原材料メーカーの監視をしないといけません。
自動車産業などはタイや広州から日本に輸出する手などがありますが、電機はどうなるのでしょう?
輸出系企業の従業員で住宅ローンを抱えた家計も大変です。
Commented by Baatarism at 2009-01-22 09:56 x
量的緩和や「不健全な領域」の他に、国債買いオペを徹底的に増やすという選択肢もあると思うのですが、国債買いオペも昨年12月までは増やされることはなかったですね。
やっぱり日銀的にはこれは「不健全な領域」と同じくらい嫌なことだったんでしょうか?
Commented by 小野(東京都 港区) at 2009-01-22 13:33 x
こことそのしたのエントリに関係あるよなないよな、多分無いかもしれませんが(汗)
青山繁晴氏がクリントン(妻)国防長官就任の為の議会証言での緊張は
「中国に弱み握られてる事悟られぬ為超焦ってたから」等と(しかもCNNと超々密なあの)
テレ朝の
日曜お昼のある報道番組で仰ってた。証拠か確証もお持ちだ等とも。近頃はこうして先に
ずけずけ仰って下さる方も居てその後何か言及する人々は何かと救われるというか?それはともかく(汗)。
あと、
GM等顕著だが国内企業支援はそれら支援企業のさしおいて他国の同じ製品商品は
幾ら戦前大恐慌と違い保護主義台頭無いとはいえ買い辛いって気もする。俺ではなくトヨタの社長が言ってた!
Commented by 小野(東京都 港区) at 2009-01-22 13:42 x
自国企業支援にしろ金融緩和(質的緩和?!)にしろだが自国以外にまで恩恵もたらすとは考えにくいですもんね
やっぱり。
中国と日本そろって米国債これまで以上頑張って買ってくれ、みたいなのがオチ
かもしれず・・・
元共同通信田中宇氏はウェブ上だけ(しかも昨年暮れリーマン債権買取危機説等々”たまにはずれちゃう?”)
だが青山氏の場合一応、まがりなりにも公共のの電波ってことで(真偽の程はともかく!?)
「言っちゃった」ぶんだけの重みというか責任みたいなのも認められるんではないか?というか。。。
Commented by 小野(東京都 港区) at 2009-01-22 13:44 x
国防長官→国務長官、でした。

Commented by Teddy at 2009-01-22 15:07 x
世界中の中央銀行が「バランスシートにクレジット・リスクを抱え込む」方向にいくのは良いのですが(いや、良くないですが)、貴金属相場が黙っちゃいないのではないでしょうか。
「政府や中央銀行は不換紙幣に対し無茶はしない」っていう、根拠はなかったにせよ、<信頼>を裏切ったも同然です。それとも、国庫から損失を埋め合わされるから、バランスシートは痛まない、ということでしょうか?
市場が金に雪崩をうった場合、オバマは、師匠と仰ぐFDR大統領が国民の金の保有を禁止したように、その暴挙も見習うのでしょうか?
Commented by PK at 2009-01-22 16:59 x
日本は、米国みたいなことをやることはない。
預金にマイナス金利をつける実験をやるほうがいい。
究極の恐慌対策は、税率100%で政府が支出を決めることだが、
その裏の論理で、マイナス金利の預金を試す方が自由民主主義に適う
現金に逃げたら、数年に一回新紙幣にする
Commented by 小野(東京都港区) at 2009-01-22 19:00 x
「アメリカ製品買えよな "良い米国製環境対策製品つくりまくっちゃうからよぉっ"」
→「でも日本も財政出動企業支援としまくった手前日本製品売れないと困るんですが」
→「じゃあ米国債買え ”円安にもなるw”つ-かそもそも日本国内の消費だけで国内製品さばける!?
 その位判ってるだろがっ、ぁ新興国も米国エコ製品買いまくってもらうつもりだから勿論♪」
かくしてまたあの名高いBenignNeglect(優雅な怠慢?)のあわれ状態に...しかも今回は
協調介入も期待出来ず(=円高是正されず??)...また仮に円安にたとえなったところで今後しばらく
「米国内産業支援(労組等むろん含む)しまくった手前米国内でも米国製買いましょう」状態が
ヤッパリ続きそうでしたとさトホホッ

トヨタシャープ等より一部上場繊維産業部品原材料の方がよほど有望じゃないか?って説も浮上し始めてる
様ですが「水メージャー」でも知られてるがあの世界一といわれる日本の「水」技術も散々買い叩かれてる
というのがその実態。

低金利で自国製品売りまくってたのはここ最近の日本も全く同じ。ヘッジファンド円キャリの
最も恩恵受けてたのも日本の輸出産業。
Commented by 小野(東京都港区) at 2009-01-22 19:17 x
・トヨタシャープ等より一部上場繊維産業部品原材料 → 米国環境エコ企業orベンチャーに使われるとかなんとか。
(だけども日本の「水」技術さえも・・・)
・青山氏のおっしゃるクリントン女史(既に国務長官就任だっけ?)の中国に対する弱み!?、とは
それ以前のクリントン政権時代よりのクリントン女史(国務長官?)への便宜やら何やら、らしいです。
それを今度はネタに、ってお決まりの...とか。(青山氏いわく証拠だか確証だか、も有りとか。)

中国が今後内需というのは実に多くの方面で主張されてる事ですが、その中国の内需で
今後米国(エコ環境?)製品沢山買ってもらうって構図は十分考えられそうだけども日本が、
幾ら円高だからって買いまくる、ましてやこれまでの米国なみ(借金してまで!?!?)買いまくるなんてえのは
有得ぬのは無論の事想像するだに超冷や汗ものだと思いますが。中国は米国製品買ってくれるからOk、
日本は買えないなら (or買えないのだから?)米国債ね、クリントン女史(国務長官)なら...???
Commented by 小野(東京都港区) at 2009-01-22 19:33 x
金融政策等が国内だけでなく国際金融にも極めて貢献してると言う事に異論有りません、
ですから↓これもやや適切ではなかったかもしれません。
> 自国企業支援にしろ金融緩和(質的緩和?!)にしろだが自国以外にまで恩恵もたらすとは考えにくいですもんね
要は、(金融以外の)国内産業支援の何でもあり財政出動&金融状態の、自国産業の
保護~優先の側面というか弊害(!?)をうっかり見落としてしまってるんではないかと
そう言う事にも
ちょっとふれておきたかったのです(、といって私の意見では無論無く前述の様に既に聞かれてる御意見で。)
これも繰返しになりますが最近までの日本のみ突出し低金利&ヘッジファンドや円キャリも、正確には日本の為
中でもとりわけ輸出産業の為だったって事に違いは無いでしょう、(プラス、買ってくれてた特に米国から。)
反新自由主義者(?)の方々の御意見等とは ”全く正反対に”。
3つも投稿が続いてしまいどうもすいませんでした。
Commented by ノン日銀 at 2009-01-22 20:29 x

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覇権国アメリカにリセットがかけられた。

その再起動の起点はドルである。グリーン・ニューディール、8000億ドルの財政支出とか金融規制というのはあくまでも上物。

リメイクは1ドル=70円あたりから始まるだろう。

米国の対外資産は18兆ドル。ドルが主要国通貨に対して30%安くなれば5兆4000億ドルの評価益が生まれる。課税免除により本国送金させればよい。

半面で、対米債権国は巨額の為替差損を被るが、市場原理が決めるドル安なら文句も言えまい。
これがもうひとつの基軸通貨ドルの強みである。「デフォルト」なんて別に宣言する必要はない。

http://tamurah.iza.ne.jp/blog/
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こういうことであれば、即ち、アメリカ・ドルの覇権性を考慮すると、日本の量的緩和の議論などとは、異なる狙いで議論をしているような気もしますが、FRBが日本と同じパラダイムで本当に論じているとしたら、FRBは大丈夫でしょうか。
Commented by bank.of.japan at 2009-01-23 01:02
かるさん、どうもです。GSの動きは良くわからないですが、ポジショントーク的な面もあるかもしれません。いずれにせよオバマ大統領の手腕を期待せざるを得ないことには変わりはないです。

一国民さん、どうもありがとうございます。

PKさん、どうもです。強欲に見えてしまう国民性でしょうか。
Commented by bank.of.japan at 2009-01-23 01:12
a-kunさん、どうもです。いきなり引用してすいませんでした。いずれにせよご指摘の内容には同感するところで、非常に興味深いです。近く取り上げますが、マービン・キング英中銀総裁も似たような指摘をしているようです。準備預金付利=売手もベースマネーだとすると、供給&売手のツイストでベースマネー増大も金融緩和でいいのか、という疑問がぬぐえないです。ここは整理が必要なところでしょう。

Baatarismさん、どうもです。日銀的に国債買い入れは銀行券見合いまでの増額は単なる技術的調整で整理されるのですが、それが財政マネタイズ政策or価格支持政策と見られることを嫌がっている、という面が強いと思います。

小野さん、どうもです。青山氏はよく知らないので、なかなかお答えしにくいです。すいません。

ノン日銀さん、どうもです。いずれにせよデフレが強まった場合、米国は緩やかなドル安を許容or静かに狙う、とかする可能性は高いように思います。対抗する日本のドル買い・円売り介入は、結果的に対米ファイナンスにもなるので、まあどうしようもないですね。
Commented by bank.of.japan at 2009-01-23 01:13
Teddyさん、どうもです。ご指摘のシナリオがまさに海に色が変わるリスクであり、世界通貨システムのリブートです。まあ、そうなれば観念するしかないでしょう。
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