FT紙がブロガーに見放された理由=マスコミが陥る罠
 これも海外ブログ巡回中に見つけたネタ。読んだエントリーをブックマークしなかったので、どのブログなのか見失っていたのだが、また発見した。「naked capitalism」の「Is the Financial Times Losing Its Edge?」というエントリーである。熱心な読者がなぜFTを見限ったのかに興味ある方は直接エントリーをご覧頂きたいが、簡単に事情を紹介すると、ある記事の見出しがややセンセーショナルで、内容も些細な動きをトレンドみたいに扱っていて「これはおかしいんじゃないの?」という不信感である。ミクロの動きがマクロの先行指標になることはあるが、さすがに用船料の上昇を需要回復のトレンドみたいに扱うのはまあ無理筋ですね(苦笑)。
 私が商売柄、FT(赤い新聞=英語はピンク)をよく読んでいたのは10数年前。日本関係の論調があまり好かない(今でもたまに読むと鼻につく)が、それを除けば比較的バランスが取れていて、特にバイアスはなかったと記憶する。その後、紙面は全然フォローしていないが、読者にこびようとしてレベルが下がったのでしょうかね。エントリーでは以下のようなコメントもあった。
 「t has been going downhill for a while. The minute the US became their biggest market, they started dumbing it down....The Op-Ed is particularly bad now. Martin Wolf is about the only one I can read regularly」
 日本でもしばらく前まで原油高を「インフレだ!、利上げだ!」とか騒いでいたので、ちょっとした動きを煽るのは、マスコミは内外どこも同じようなものだが、そうした中でFTは一応は経済専門紙としてステータスが高いメディアで、迎合的報道は洗練した読者の離反を招き、紙媒体としての価値を下げるリスクが高かろう。
 コメント欄もかなり手厳しい。前半部分しかざっと見ていないが、こんなのもあった。
 「I fully believe the FT is being dumbed-down. Not only is sensationalism creeping in, and factual errors - but also the horrid "punning" headlines favored by tabloids.

The FTs decline is part of a bigger malaise affecting all media. Now the BBC news won't even show simple charts or provide percentages when reporting changes in trend. I got sick and tired of hearing how "Obama was ahead of McCain" in the polls without even the simplest supporting statistics. Isobars have all but disappeared from UK weather reports. CDS's are always described as "insurance". I could go on... but its seems futile to rail against this trend in English-speaking countries」
 専門的知識を深める一般読者のマスコミ批判は世界どこも共通である。

 マスコミ(紙媒体)が退潮を余儀なくされる大きな理由は二つある。構造的要因(インターネットの出現)と世界的不況である。どちらも経営努力ではどうしようもない。「紙媒体」としてのありがちな努力は、記事を面白くする、わかりやすくする、読みやすくする、であるが、いずれも効果は薄い、というよりも迎合化が進んで、結果的に想定読者水準の引き下げにつながって、まあ自滅ですね、多分。
 皮肉というか、FTは本紙よりも「Alphaville」というブログが面白いようである。「ずんちゃか株式投資雑記帳さん」も「FT Alphaville ほんまおもろいわ」とご指摘されている。記者が自由に書くと記事は面白いが、一般受けはしなくなる。マスコミはマス意識を捨てることで生き延びる道を探す必要があることを示唆するが、問題はその道を見つけることが難しいことである。
 日経新聞さんが記者ブログ始めたら面白いのでは…。ヴェリタスブログ版とか、どうすかね。
[PR]
by bank.of.japan | 2008-12-30 19:29 | マスコミ | Comments(14)
Commented by 良いお年を at 2008-12-30 23:56 x
ということで、一年間ありがとうございました。112円だか陽線で終わりましたが、42%マイナスが強調されます。ということで、良い年であるますように、しかし18銘柄が売買停止ってみんな知ってました。
ある意味裏技ですね。そんな中ガザ地区空爆ってだれが得するのか、亜細亜はだまされんようにしないといかんよね。

Commented by 馬車馬 at 2008-12-31 10:19 x
大変ご無沙汰しております。あれやこれやでてんやわんやな日々を過ごしておりまして、なかなかブログを更新する時間がとれません。

FTですが、昔はほとんど読んでいなかったので過去の記事と比較は出来ないのですが、そんなに質が低いとは思えません。確かに、日本関連の記事ではいまいちな出来の物が良くありますが、そこまで要求するのはやり過ぎでしょうし。
ブログで指摘されているとおり、装飾過剰なタイトルが多いのは確かだと思います。(WSJの専売特許だった、というコメントがむしろ私には意外でした。あまりそう言う印象はないのですが。)  ただ、これはイギリスの新聞では良くあることですし・・・。
次の(そのまた次かも)編集長にほぼ当確しているGillian Tettはこういう装飾の多い文章やタイトルを得意にしているので(彼女の文章は勉強にはなりますが読むのが少ししんどいです)、 今後Naked Capitalism好みでは無い記事は更に増えるかもしれませんね。
Commented at 2008-12-31 10:31 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-12-31 20:24 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2009-01-01 00:20 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ななし at 2009-01-01 00:27 x
全く関係の無い話題で申し訳無いんですが、日銀や日本政府の対応が欧米に比べて遅くて小規模なのはやっぱり景気回復・デフレ脱却による
長期金利高騰を恐れてるからじゃ無いんでしょうか?
財務省の官僚や与謝野氏も度々その事に言及して来ましたが。
もしそうだとすると政府も日銀もデフォルトを避ける為にデフレ政策を続けなければなりませんよね。
これが100年デフレと呼ばれる由縁ですよね?
日本は終わってると言われる由縁ですよね?
日銀に買い取らせれば問題無いと言う意見もありますが、それをやるとハイパーインフレや円の暴落を起こすと言う意見もあります。
本当のところはどうなんでしょうか?
オバマ政権やFRBのバーナンキはそんな事は意に介してないようにも見えるんですが。
Commented by bank.of.japan at 2009-01-01 17:48 x
良いお年をさん、どうもです。こちらこそありがとうございました。新年明けましたが、今年もよろしくお願いします。

馬車馬さん、どうもです。ご無沙汰しておりました。FTの件は、たまたま目に付いた記事にブロガーが噛み付いた、ということかもしれません。Gillian Tettは何度か見たことあります。日本の不良債権問題で名を挙げた記者で、FTの日本関係はもとから臭いので、ますます臭さが増しそうですね(苦笑)。引き続きよろしくお願いします。

ななしさん、どうもです。政府・日銀の対応が欧米対比出遅れて見える理由は、合理的に考えると、バブル崩壊の痛手が相対的に少なく、米国は震源地であるがゆえに目の前の崩壊をとにかく食い止めるために金融財政バンバンになった、ということでしょうか。意に介す余裕がない、という風に見えます。
Commented by bank.of.japan at 2009-01-01 17:55
最初の非公開さん、どうもです。ご活躍ではないかと推測しておりました。いらっしゃるところでは唯一の経験者?ですので、是非アイデアが生きることを期待しております。ときどき経緯などメールでもお知らせください。楽しみにしております。

二番目の非公開さん、どうもです。FTの論調はあのクセがちょっと食傷気味ですね。ブログはまあ、難しいとは思います。でも、読みたいですね。今後ともよろしくお願いします。

三番目の非公開さん、どうもです。こちらこそありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。
Commented by PK at 2009-01-01 21:25 x
NHKが正月から左翼丸出しの報道番組ぶってますね
ほんとに日本はマスコミが救いようが無い
戦前からどうにもならない
なんとかしてほしい
めちゃめちゃだ この国は
Commented by PK at 2009-01-02 07:51 x
日本と言う国には、テキスト文化の伝統と蓄積が無い。
現実からテキストが起こされて、証拠とともに吟味され、主要な構造に要約された後に、批評されて、概念として確立し流通する
そういうことが教育の中にも無い。
出版物は膨大だけれども図書館は、そういうガラクタの倉庫だし、
公文書も米国に持っていかれている(従って、日本の議論は証拠が無いことになる)
批評も適当だし、概念はマルクス教徒など信者の間でしか流通しない。
企業経営者は、だから日本の学者を信じない。自分で考えたことを朝日に批判されようが貫くことが大事だと理解するようになる。
マスコミと企業人のどちらを信じるかと言えば、企業人に決まっている。
彼らは、テキスト文化を知らなくとも、それを実践するように強いられているからだ。
Commented at 2009-01-03 11:40 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2009-01-06 00:25
非公開さん、どうもです。こちらこそ今年もよろしくお願いします。
新聞記者のブログはやはり難しいかもしれませんね。通信社は媒体を持たず、また社説・社論というものがないため、個人的な意見をブログで述べやすい面はあります。まあ、多少は齟齬が起きないように工夫はしておりますが、これは書き方の問題かもしれません。
Commented at 2009-01-06 00:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2009-01-06 21:59
ななしさん、どうもです。オピニオン欄の方の主張について、海外に比べて日本のユーザーが過剰サービスに慣れている、というのはその通りかと思います。ご指摘のように、日本人の几帳面さが一因かもしれません。ただし、私がいくスーパーでは、袋詰めは客がやりますし、私自身は袋詰めしてくれる店員がいるスーパーの存在を知りません。かなり高級な特異なスーパーのような気がします。袋詰め専門の要員は例としてはちょっと違うかな、と思いました。
<< 謹賀新年・今年もよろしくお願い... Bernanke-San、占星... >>


無料アクセス解析