FRBのバンド誘導&量的緩和のポイント
 下のエントリーで思いつきで書いたバンド誘導は日銀を想定したものだったが、いきなりFRBがやったのでちょっと驚き。日銀にもお勧めです。で、FRBのバンド誘導と量的緩和のポイントを幾つか簡単にまとめたい。
<金利誘導>
・誘導目標は0-0.25%、準備預金に0.25%の付利、ロンバートは0.5%。普通だと誘導目標は0.25%から0.5%の間にピンポイントで設定されるが、吸収能力問題やGSEが付利されないなどで金利誘導は難しく、既にFFはゼロに近かった。従って、現状追認の大幅利下げ。
・ゼロ金利ターゲットにしなったのは、まあFRBも市場機能論を意識したということか。だとすると、個人的にはやや意外である。準備預金の付利は補助金の意味合いが強いのかもしれない。
<量的緩和>
・ターゲットはない。膨張B/Sの堅持ないしさらなる膨張という漠たる量的緩和。
・漠たる量的緩和の手段は、いろいろな物を買う。選別的質的緩和を通じた緩和効果が狙い?
・準備預金付利(吸収手段)でベースマネーの定義が形骸化。これをいくら増やしても、それは吸収を増やす格好にもなり、結果的に信用乗数の劇低下を招く。
<さりげに時間軸>
・まだ言い方は変化していくかもしれない。もっと強い方向と思われるが…。

おまけの考察
<金利付き量的緩和>
 これは宿題でもあったが、私はもともと量的緩和自体のマクロ効果には懐疑的で、強いて効果があるなら、やっぱり①ポートフォリオリバランス(染み出し)効果②期待への働きかけ-が中心であったと思う。もう一つは、CPIコミットメントも含めた時間軸効果(長短金利の低下)。
 この観点で、付利したままの量的緩和を考えると、①の効果は金利分減殺される②期待に働くかどうかは受け止める人による(インタバンクには効かない、私も)-といったところか。時間軸効果は多少あるかもしれない。これはむしろコミットメントの有無、その強さの方が大きいと思う。

日銀のやった量的緩和は一番ピュアだと思うが、これは日銀オンリーの芸で、これからはFRB的漠たる量的緩和を選別的買い入れでやっていくのが主流になるのだろう。そのときの鍵は為替ですね。多分、日銀の将来は「TOKYO連銀」であろうか。白川総裁、FOMCに行った方が手っ取り早いかもしれない。政策委は事務的決定会合になります。まあ、こういった将来像はまた別の機会に。
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by bank.of.japan | 2008-12-17 18:25 | 日銀 | Comments(16)
Commented by 官庁エコノミスト at 2008-12-17 21:49 x
バンドというか、レンジの解釈は違うと私は考えてています。
ズバリ、 MMF の元本割れ、それに伴う取付け騒ぎ対策です。金利をホントにゼロにすると、MMF の信託報酬なんかのために元本割れして、取付け騒ぎが起こります。日本の MRF と違って、米国の MMF は決済に一定の役割を果たしていますから、その取付け騒ぎを回避するためには、ホントのゼロ金利は不可能です。ですから、ホントの FED のココロはゼロ金利に近いんだろうと思います。逆にいうと、日本ではホントのゼロ金利は可能です。
でも、日銀や日銀に近いエコノミストは「FEDはゼロ金利ではない」と主張することでしょう。金曜日の会見で、誰かが「FED はゼロ金利に入ったが…」なんて質問すると、日銀総裁が興奮しやすい人ならば声を荒げて「ゼロ金利ではない」と言い張るでしょうが、白川総裁に限っては、そんなことはないと思います。
Commented by 植田日銀総裁 at 2008-12-17 21:51 x
本日の日経新聞、「米、事実上のゼロ金利」「量的緩和を導入」となっております。量的緩和とは何ぞやという整理もせずにこの言葉を使うのは不適切だと思いつつ、よくよく紙面を見ていくと、金融政策「金利」から「資金量」に、と解説コーナーがあります。そしてその中で、FRBは金融政策の目標を「金利」から「資金量」に切り替えた。とあります。これは事実誤認ではないでしょうか。ステートメントに量を目標にするという明確な文章はないと思います。敢えて言えば”through open market operations and other measures that sustain the size of the Federal Reserve's balance sheet at a high level.”ここかもしれませんがこれは使えるすべてのツールを動員した結果の副次的なものとして述べられているように思います。 どうも量的緩和という言葉に違和感を覚えます。
Commented by 椿ライン at 2008-12-17 22:02 x
 毎度ご苦労様です~。
 メディアによっては今般の声明内容を量的緩和と強調しているところがありましたが、本石町さんの仰る「ターゲットはない。漠たる量的緩和」の指摘に同感です。日銀がバランスシート(笑)ではなく当預残を目標にしたのはオペで調節が可能で、数値目標としても分かりやすかったことが理由でした。FEDにはBS膨張目標を掲げてもらいたいです。
 時間軸効果と言われるweak economic conditions~のくだりも、具体的に景気が弱いとは何のことか分かりません(NFPか、GDPか、はたまた株価か?)。畢竟、グリーンスパン時代に使ったconsiderable periodとか、速水さんの「デフレ懸念が払拭できるまで」くらいのコミットしかないような気がします。

 結局、2日間にしてみたものの、追加策について論点を詰めきれなかった印象があります。ミニッツの発表を待ちたいところです。
Commented by 学者 at 2008-12-17 22:30 x
本石町日記さん

>マクロ効果には懐疑的
どんな根拠によって、そう思うのでしょうか?
日銀もFRBでも論文ではっきり効果があったと書いてあります。
反論でも書かれたらどうでしょうか?
Commented by luke_randomwalker at 2008-12-17 23:52 x
量的な上限を明示しない、というのがポイントだと思います。効果があるまで、上限無くバランスシートを拡大して行く。これでもし緩和効果がないとすれば(そんな馬鹿げた事はあり得ないと思いますが)無税国家とか、ゼロコストで無制限の資金調達ができる企業とか、この世の楽園が現出する事になります。
Commented by bank.of.japan at 2008-12-18 00:13
官庁エコノミストさん、どうもです。MMFに決済機能があり、これも市場機能の一部と考えるなら、まあその機能に配慮したと思われます。気分的にはゼロようなものだ、という感じでしょうか。

植田日銀総裁さん、どうもです。確かに「量的緩和」の定義も曖昧で、これを「量的緩和」と名付けていいのかどうか。金利付き量的緩和は、ターゲットがないと流動性供給というオペの延長という感じです。
Commented by bank.of.japan at 2008-12-18 00:18
椿ラインさん、どうもです。時間軸や量的ターゲットの本格導入はなお手探りで、とりあえずは目先やるべきプルーデンス的流動性供給をこなすのがなお精一杯なのかもしれない、と前向きに考えるなら、そう解釈されます。

学者さん、どうもです。効果ゼロの証明はできませんので、もしかしたら多少は効果あったかも、に言い換えましょう。かなり効果あった、というお立場ですか?

luke_randomwalkerさん、どうもです。手探りしながらのB/S拡大路線であろうと推測されます。
Commented by PK at 2008-12-18 07:51 x
寄らば大樹の陰
大樹とは何か? 社会的共通資本です。
もはや日本は、北欧型経済でじっと春の来るのを待って耐えるしかありません。
国民負担率を最低でも65%に引き上げて、社会的共通資本を中心とした経済システムに移行すべきです
Commented by 官庁エコノミスト at 2008-12-18 07:53 x
「気分的にはゼロようなものだ」というのは、まさに、FED の考えている通りだと思いますが、人づてに聞いた話によれば、某短資会社のエコノミストは早くも「アレはゼロ金利ではない」と主張しているらしいです。短資会社もツラいなあ、と感じてしまいました。明日の記者会見では必ず「アレはゼロ金利ではない」という日銀の認識が示されると思いますから、記者会見に出席できない私のために、是非、詳しくリポートして下さるようにお願い申し上げます。それとも、すでに、そういった雰囲気は取材していらっしゃるんでしょうか?
Commented by Teddy at 2008-12-18 09:45 x
遅ればせながら今朝キャッチしたのは、匿名のFed高官が、FOMC後に異例のコンファレンス・コールをしたことです。「Fedの今やっていることは、中央銀行の資産サイドにフォーカスがあり、日銀の当時やった負債サイドのフォーカスとは違う」などと述べたようです。積極的に「ミクロ的
資源配分」をやりまっせ、ということでしょうか。
Commented by Teddy at 2008-12-18 09:48 x
Fed高官は、「これは量的緩和とは区別される-distinct from-」とも述べているようです。
Commented by PK at 2008-12-18 12:34 x
某くだもの掲示板では、量的緩和と騒いでいます。

結局、日本は米国と違い覇権国ではないので、途方も無い資源動員ができない。だから人々を信じ込ませるような財政金融政策などできない。
必ず限界を見られてしまう。米国だって、結局は同じことだったということ。
Commented by EURO SELLER at 2008-12-18 16:23 x
利下げ以外にも当然CP買い切りプラスアルファがあるのかな。明日はジンギスカン鍋で…
Commented by bank.of.japan at 2008-12-19 01:40 x
官庁エコノミストさん、どうもです。まあ、ゼロ金利の定義次第でしょうか。日銀は事実に忠実なので、FRBの政策を聞けば0-0.25%がターゲットだと答えるでしょう。

Teddyさん、どうもです。ご指摘の報道はまだ確認していないですが、連銀高官の指摘内容はよくわかりす。

PKさん、どうもです。米国が限界を見られたとき、管理通貨制度のリブートが起きるでしょう。

EURO SELLERさん、どうもです。どうなんでしょう。利下げ&CP買いきりなら、日銀的には満額回答かもしれません。
Commented by 小野(東京都港区) at 2008-12-19 12:52 x
> PKさん、どうもです。米国が限界を見られたとき、・・・・・
ニューズウィーク日本語版20~21頁、だったか(漠としててすいません)「戦争の方が安上がりだった」
(=現世界金融危機は8兆ドル棒グラフ付。)、それから

46~47頁だったか(同じく全く漠として大変失礼!(、何しろ「立読み」なモノデ...))、

「第二次世界大戦、米国は超膨大な(1)貿易黒字(2)外貨準備があった」、と、以上の
ようなこと ”も” 偶然ですが、たまたま目にとまってしまってたのでチョット投稿、させて頂きましたm(_ _)m

24~25頁だったかの、『 ” 労組に厳しい土地柄 ” 』、 ってゆー記事も興味深かった(カモ?!)
まえのエントリで投稿させて頂きましたが「カーター政権型」・・・でおさまればまだマシ、ってことなの
かナ??、政権スタート前からマッタクなんですが(汗)・・・頑張れっ
オバマ&米民主党政権!、 ガンバレ「あ、そぅ?」政権ッ!!(笑)
Commented by 小 野(東京都港区) at 2008-12-19 13:00 x
> 「第二次世界大戦、米国は超膨大な(1)貿易黒字(2)外貨準備があった」、・・・・・にもとづくならば、
巷間よく指摘されてる「ルーズベルト(ニューディール)」にはチとむりありそうだって気もしちゃぅんですが、さりとて
「リブート」もそりゃ、もぅ、すんごくおっ、そろしぃし・・・・・(1)ルーズベルト型(2)ケネディ型
そして(3)カーター型・・・・・カーターと同様史上最高の元大統領「リアル天下の副将軍」っていうのも”キャラ”だって気も
してるんですが(、政権スタート前から ”マッタク、なん” ですが(汗)・・・繰返しですが・・・)(2)=暗殺よりゃマシ、ッて事も!?
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