半期報告雑感&思いつきの案&内定取り消しと国会会議録
 本日は参院で日銀半期報告。ブラックアウト中の開催となり、目先の金融政策で突っ込んだやりとりはあまりなかった。以下、雑感を幾つか。
・総裁、市場機能論はほとんど触れなかった。これは戦略的には正しいと思う。これを唱えてしまうと現行政策が「絶対国防圏」になり、緩和圧力に玉砕戦を展開することになる。
・果敢な流動性対応でB/Sが急膨張するFRBが実はリスク遮断に関して政府のバックアップなどがあることや、CP買いきりでもトリプルAに限定していることなどの解説が良かった。これは総裁も言うようにもっと報じられるべき。ドルの信認を維持するためにも必要。わが国財務省も国難の時期なので日銀が突っ込むときのバックアップ体制が必要ではないか。日銀は梯子外されたくないのですよ。
・ゼロ金利や量的緩和の可能性を排除せず。
・余談 当ブログがちょっと言及されて赤面。総裁、配慮した答弁ありがとうございました。

政策論で思いついたこと。
・スイス型のバンド誘導はどうだろう。ロンバートを少し下げる(これは利用期間の延長を強調すればターム物金利の上昇抑制効果ある・市場安定に寄与)、それで誘導目標をナローバンドにする。金利は狭いバンドで上下動できるので市場機能が生きる余地あり。年末越えは潤沢供給で下限に張り付かせる形となるが。吸収で頑張る必要もないので、金融市場局も楽になるはず。
デメリット→年明けからの新型オペの金利が決まらない(バンドの真ん中に設定?)。

内定取り消しが大々的に報じられている。さっき見たNHKニュースでは高卒・大卒の内定率は去年とほぼ同じ(大卒はやや上昇)。報道だけだとあたかも就職戦線崩壊の印象だが、内定率は意外な堅調ぶり(今後は不透明)。で、過去はどうだったか。昔の国会答弁を紹介したい。
 「不況は一層深刻の度を増し、戦後その比を見ない不況状態に陥っているのであります。生産活動は減産強化など低迷を続け、企業の設備投資意欲は依然として後退を続け、景気の下支えをしてきた輸出は成約激減などで大幅減退が予想されるに至り、ついに新規雇用の抑制、明年採用予定の取り消し、企業倒産、人員整理の段階に突入するに至ったのであります」
 これは昭和46年11月11日の衆院本会議。ニクソンショック(同年8月)の直後の状況である。ちなみに発言者は社会党の広瀬秀吉議員である。
 
当時の会議録検索中に興味深い答弁を見つけた。ショック後も為替市場を閉鎖しなかったのはまずい判断だと思っていたが、これを読んで考えさせられた。ブレトンウッズ体制の崩壊。相当な衝撃があったはずだ。そのときの詳細、長いが紹介します。水田大臣の答弁である(昭和46年10月21日、衆院本会議)。
「○国務大臣(水田三喜男君) ニクソンの声明に対応して、もう少し早く機敏に対応のしかたがなかったかというお尋ねでございますが、これについて、あらためて御答弁申し上げます。
 この声明が出たときは、ちょうど日本ではもう為替市場が開かれておったときでございますので、そのまま閉鎖しないで過ごしました。欧州の諸国におきましては、この声明の出た直後市場が開かれる番になっておりましたので、ここでは全部市場の閉鎖をいたしました。したがって、翌日わが国はどうすべきかという問題は、当然問題でございましたが、御承知のように、欧州の諸国は自国の通貨建ての取引の部分が非常に多い。したがって、為替市場を閉鎖しても対外取引にそう大きい支障を来たさないということでございますが、わが国におきましては、全く違って、ほとんど全部の輸出入取引が外貨建てになっておるということでございますので、したがって、市場を閉鎖することは対外取引に対して非常に大きい支障を与える。そのことがいろいろ経済の混乱を招く危険が十分にございましたので、非常に慎重に考えて、日本はそのまま続行することにいたしました。と申しますのは、もしそのまま市場を閉鎖しないでおいたために、投機的な短資が入り込んできてだれかをもうけさせる、そういう不当なことが起こる可能性がございましたら問題でございますが、日本の為替管理は非常に行き届いておりますので、そういう危険が見られなかった。したがって、これをこのままにしておいても、国内の経済混乱を来たすよりは非常にいいという判断で、日本は市場を閉鎖しないことにしました。もし、あの場合に、海外の例にならって何らかの形で変動為替制度に日本が移行したとしましても、ドルに対する不安が非常に強かったということと、初めての経験でございますので、それに対する戸惑いから、やはり大きい経済混乱を起こしたんじゃないか、この可能性が非常にございましたので、すぐにこういう変動制に移行するということに追随することもしないで、そのままにした次第でございます。
 しかし、そうやっておりますというと、外国の市場レートに比べて円が事実上切り下げられたことになってきましたので、これは今後の国際協調の上から見て非常に大きい支障になるということが一つと、さらに、この問題を解決するために国際会議が開かれるということになって、日程まで、日取りまできまったという事態になりましたので、そういたしますというと、日本も同じ基盤に立たないと交渉について非常な不利な立場に立つということから、二十八日になって初めて日本は、欧州と同じような変動為替制に移行する、こういう決心をした次第でございまして、まあ、あとから考えることでございますが、あの場合には、これくらいの慎重な態度であってやむを得なかったんじゃないかと私は考えます。(拍手)
 そこで、延びたことが、メーカーやあるいは特殊な商社、為替銀行を擁護するためにやったんじゃないかというお尋ねもございましたが、いま申しましたように、国民経済全体の動向を見ましてとった処置でございまして、そういうことではございません。
 その期間にドルが非常に流入して、この差額だけ国民全体の損失になったというお話でございましたが、これもまた問題でございまして、買い取り資産が減価したということは確かにございますが、しかし、もしああしないで国民経済が混乱した場合の損失に比べてどういうことであるかということと、円を切り上げたということは、円の国際購買力を全体としてそれだけ増大させておるということを考えますと、国民経済的に見て、広い視野から国損であるかどうかの判断は、そう簡単には私はつかないものではないかというふうに考えております。続く」
 これは衝撃を受けた金融市場の安定を取り戻すための中央銀行の流動性供給と似ている。我々はその後の歴史を知っているので、先人の誤りは指摘しやすいが、当時のその状況に置かれたら、これはやむなしということであろうか。会議録、勉強になります。これは本当に良いデータベースである。

ブッシュ大統領の反射神経は凄い。元ナスダック会長の詐欺事件、プリンストン債事件を思い出した。
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by bank.of.japan | 2008-12-16 22:42 | 日銀 | Comments(5)
Commented by PK at 2008-12-17 09:23 x
消費税増税は選挙に負ける
朝日新聞に仕込まれた犬の条件反射なんでしょう
少しは自分で考えれば、何がいいか分かりそうなものだが

ケインズの一般理論を読めば、今が長期期待の状態を改善する局面だと分かる。
金融面での超緩和は日本人はすでに経験済みで必要ない。
最悪の場合、世界の経済は10年ぐらい沈む。
その間そこそこの暮らしを確保するために、消費税の増税は必要。
また円の能力もある程度増強しておかないと。
米国がやったように石油や消費財が購入できる通貨に少し変身する。
石油はベネゼエラあたりに円で決済OKにしてくれと話にいけばいいのではないか?
Commented by 小野(東京都港区) at 2008-12-17 12:47 x
> ブッシュ大統領の反射神経は凄い。
エンロン(裁かれたケネスレイ会長は共和党ですが)アンダーセンにしろクリントン民主党政権下でおおきくなったん
ですよね。こういってはなんだが、思うに、クリントン政権下の8年もぶっちゃけ「金融で」あのように栄華繁栄した、て
ことなんじゃないんだろうか?米国選挙民及び全米国民の皆様には少々、申し訳無い事かもしれませんがm(__)m
・・・現ブッシュ政権だけではなくクリントン政権下のあの8年も(金融あってこそ!?)、って意味ですが・・・申し訳無い
ついで(?)、なんていってはこれも、しかも政権スタート前からさらにまたなんですが(汗)、オバマは「カーター型」
(???)なんじゃないか?、って気もかなりしてならないです米国民でも無い私が甚だ何ですが。でもカーターも
引退後「史上最高の元大統領」って大いに評されてらっしゃいますしね♪クリントン政権下鉄道のアムトラックの労組
との関係で共和党関係の方がのりだしようやく収拾したなんて話等もちょっと思い出しました。
Commented by 小野(東京都港区 at 2008-12-17 12:50 x
エンロン ”にしろ”( ~ アンダーセンにしろ・・・ )、でした。m(__)m
Commented by Teddy at 2008-12-17 15:28 x
Fed、「出し惜しみ」とは無縁ですね・・・01年のFOMCのFRBスタッフの議論では、名目金利のゼロ下限問題で、「1%未満のFF金利が要請される場合は、一気にゼロに持っていくべし」という処方箋が出されていましたが、実のところ、まさか実行するとは。
しかし、本石町日記でもしきりに話題になるドルですが、大恐慌のときにやっていたら、という大恐慌おたくのバ議長の診断に基づき今やっていることの数々、特にゼロ金利は、米国が債務国の場合でも妥当するのか、よく分からないものがあります。
Commented by bank.of.japan at 2008-12-17 18:35
Teddyさん、どうもです。まあ、現状追認をうまく演出した、という感じです。ゼロとは言っても超短期物で、債務はプレミアムが要求されるなら、それなりのものが付くかもしれません。準備預金も付利が続いておりますし。ドル安は、デフレ状況ですから容認かもしれません。

PKさん、どうもです。消費税引き上げ、どうでしょう。無理かもしれません。

小野さん、どうもです。オバマの評価がどうなるか見ものです。
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